蒲田区

蒲田区：東京の消えた区の歴史

かつて東京都に存在した蒲田区は、1932年（昭和7年）から1947年（昭和22年）までの約15年間、存在していました。現在の東京都大田区南部にあたる地域です。この区は、歴史的な変遷を経て誕生し、その後、大森区と合併して大田区となりました。

蒲田区の成立以前

現在の蒲田区に含まれる地域は、明治11年の郡区町村編制法施行当時は荏原郡に属していました。多くの村々があり、蒲田新宿村、北蒲田村、御園村、女塚村、八幡塚村、高畑村、雑色村、町屋村、古川村、羽田村、羽田猟師町、鈴木新田、麹谷村、浜竹村、下袋村、萩中村、矢口村、古市場村、下丸子村、道塚村、蓮沼村、今泉村、原村、小林村、安方村が存在していました。明治12年には、麹谷村、浜竹村、下袋村が合併し、新たな麹谷村が成立しました。

明治22年の市制町村制施行によって、これらの村々は再編され、荏原郡蒲田村、六郷村、羽田村、矢口村の4村となりました。その後、明治40年に羽田村、大正11年に蒲田村、昭和3年には六郷村と矢口村がそれぞれ町制を施行し、羽田町、蒲田町、六郷町、矢口町となりました。

蒲田区の誕生と消滅

昭和7年10月1日、荏原郡全域が東京市に編入され、羽田町、蒲田町、矢口町、六郷町の区域に蒲田区が設置されました。これは、東京市の市域拡張案に基づくものでした。なお、当初の案では、蒲田町、池上町、東調布町、矢口町、六郷町で蒲田区を、羽田町は大森区に含める計画でした。

昭和18年7月1日には東京都制が施行され、東京市と東京府が廃止、東京都が設置されました。そして昭和22年3月15日、蒲田区は大森区と合併して大田区となり、蒲田区は消滅しました。

蒲田区の名所・施設と交通

蒲田区には、穴守稲荷神社、蒲田八幡神社、新田神社、六郷神社、稗田神社などの神社や、松竹キネマ蒲田撮影所といった施設がありました。また、東京飛行場（現在の東京国際空港）や日本飛行学校、羽田運動場、六郷水門なども蒲田区内に存在していました。

交通網としては、国鉄東海道本線（現在のJR京浜東北線）の蒲田駅、京浜電気鉄道（現在の京浜急行電鉄）の本線、目黒蒲田電鉄（現在の東急電鉄）の蒲田線、池上電気鉄道（現在の東急電鉄）の池上線が通っていました。京浜急行電鉄の穴守線も運行していましたが、現在の空港線とは路線が異なっていました。これらの路線は、蒲田区の地域住民の生活を支えていました。ただし、現在の羽田空港周辺の駅は、蒲田区が存在した当時は存在しませんでした。京浜国道も重要な道路として機能していました。

蒲田区のその後

蒲田区は、大田区の一部となり、その歴史は現在の大田区の歴史に引き継がれています。かつて蒲田区が存在した地域は、現在も大田区として発展を続けています。戦中戦後の様子を描いたドラマ『梅ちゃん先生』にも、蒲田区が舞台として登場しています。

この歴史的変遷を知ることは、大田区、ひいては東京の歴史を理解する上で重要な要素となります。

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