北陸鉄道モハ1500形電車

北陸鉄道モハ1500形電車

北陸鉄道モハ1500形電車は、かつて北陸鉄道（以下、北鉄）で運行されていた電車で、1925年に新製された金沢電気軌道のデホニ101形を元にしています。本稿では、このモハ1500形とその変遷について詳しく説明します。

車両概要

モハ1500形は、汽車製造東京支店で製造されたデホニ101〜104の4両から構成されています。これらの車両は、石川鉄道の設計に基づいて発注されたとされています。すべての車両は、石川線で運行されるために設計されており、その特徴的な外観は、深い屋根と狭い腰高の車体に、リベットが並んでいることが特長です。車両の全長は14,351mm、全幅は2,556mmの半鋼製ボギー車で、正面は3枚窓の非貫通構造となっています。

当初は荷物合造車として設計されており、白菊町寄りに荷物室が配置されていました。窓の配置はB2D11Dの方式で、荷物扉用のステップがすべての側扉に取り付けられています。また、制御方式は直接制御方式で、主電動機には芝浦電気製造（現・東芝）製のSE-102を2基搭載しており、釣り掛け式になっています。動力伝達のための歯車比は3.42で、台車にはJ.G.ブリル社製の27MCB-2に基づく汽車製造製27MCB釣り合い梁式台車が使用されていました。

モハ1500形の経緯

1949年、北陸鉄道が合併によって新体制となった後、一斉改番が実施されました。この際、デホニ101〜103がモハニ1501〜1503に改称され、デホニ104はモハニ1300形となりました。その後、デホニ104も再び本形態の一部としてモハニ1504と改番されます。1950年からは、全車両の荷物室が撤去され、記号がモハに変更されました。初めに改造されたモハ1502には新たに窓が設けられ、扉の配置も再設計されています。

車両の外観については、冬季に使用するスノープラウの設置に伴い、正面の切り欠きが拡大されるなど、各車両ごとに特徴が見られました。また、台車にも補強が施され、補強された台車はMCB改型と呼ばれるようになりました。

車体更新とモハ3710形

1963年、モハ1502と1504は、車体の台枠と屋根を流用しつつ新たに車体を製造し、モハ3020形3021及び3022として登場しました。この新車体はノーシル、ノーヘッダーの構造で、窓の固定支持はHゴムを使用するなど、北鉄のスタンダードな設計が取り入れられています。車両の窓配置は変更され、また、貫通扉が設置されましたが、高さの問題から貫通幌の形状に工夫が必要でした。

1964年には主要機器の一部が更新され、モハ3700形と同様の制御器および主電動機に換装され、モハ3710形として再度改番されました。

晩年と廃車

モハ1501と1503は、車体更新を受けることなく1966年に廃車となり、最終的にモハ3710形2両も1978年に廃車解体されています。これらの車両は、収容力の不足が課題となり、他車両の部品供出を経て役目を終えました。

北陸鉄道モハ1500形とその後のモハ3710形の歴史は、鉄道技術の進化やデザインの変遷を知る上で、貴重な資料となっています。

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