北陸鉄道モハ1800形電車

北陸鉄道モハ1800形電車について

北陸鉄道モハ1800形電車は、1941年に発生した山代車庫の火災で焼失した車両を復旧するために製造された電車です。この車両は、温泉電軌および北陸鉄道加南線で使用されており、その背景には2回の大火災が影響しています。特に1941年の火災では、営業車両のほぼすべてが被害を受けたため、火災直後は他社からの車両借用によって運用を維持していましたが、長期間の運用には新車両を確保する必要が出てきました。

製造と設計の背景

復旧のため1942年には、被災車の機器を流用し、木南車両で急遽9両の半鋼製ボギー車群が製造されました。これらの車両は、基本的には被災車の車籍を引き継いでいますが、火災で全焼した車両の車籍を復元して新造扱いにすることも行われました。このような背景から、戦時中にもかかわらず多くの新造車両を確保するための工夫が見られます。

車両の詳細

モハ1800形の車両は、片開客用扉と戸袋窓を有する設計で、車体は15メートル級の半鋼製となっており、実用性を優先したシンプルなデザインが特徴です。その構造は、当時の需要を満たすものであり、各地で運用されました。戦後、老朽化したデハ20の改造に伴いモハ1820形が新造され、その際には運転台に乗務員扉が追加され、運行の効率を向上させる措置が取られました。

主要機器

モハ1800形の台車に関しては、J.G.ブリル社製のBrill 27GE-1やボールドウィンA形の台車が使用されていましたが、実際の仕様には多くの変動がありました。また、全車両には直接制御器が搭載され、主にGE社製とスイスのBBC社製の制御器が搭載されています。主電動機にはウェスティングハウス製の直流整流子電動機が装備されていました。

運用状況

本形式は、1950年代にかけて加南線の主力として重用されていましたが、新車両が投入されるにつれ、その運用は徐々に減少しました。1971年の加南線全線廃止までにおいて、30年間にわたっての運用を支えてきました。廃止後は車両が分けられ、一部は廃車、または他線に転属されました。転属された車両も含め、残った少数の車両は1990年代まで利用され、その後は廃車となりました。

結論

モハ1800形電車は、戦時中の困難な状況を乗り越えた結果生まれた車両であり、その設計と技術は多くの試行錯誤の上に成り立っています。その運用は長きにわたり、加南線の歴史の中で重要な役割を果たしました。いくつかの車両が時代を超えて運用され続けたことは、この電車の歴史の深さを物語っています。

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