医王寺 (福島市)

医王寺（いおうじ）

医王寺は福島県福島市に坐する真言宗の寺院で、山号は瑠璃光山です。中世初期に地域を支配していた佐藤氏の菩提寺として知られています。医王寺は豊かな歴史を有し、数々の伝承や文化財に彩られています。

沿革

医王寺の開創については、明治時代に出版された『大日本地名辞典』で詳しい情報は得られませんが、寺の縁起によると826年に空海によって開山されたとされています。この寺はその後、治承年間に佐藤基治によって再興され、さらには寛永期に福島真浄院の快翁によって「重興す」と記録されています。境内には、平安時代末期の武士であり奥州藤原氏に関わる佐藤基治やその子、佐藤継信と佐藤忠信の墓とされる板碑が残されています。さらに、鎌倉期の板碑もいくつか見ることができます。

また、松尾芭蕉が有名な旅、奥の細道の際に医王寺を訪れ、「笈も太刀も五月に飾れ 紙幟」という句を詠みました。この詩に登場する「笈」は、武蔵坊弁慶が寄進したものだとの言い伝えがあります。

主な建物

医王寺にはいくつかの重要な建物があります。

瑠璃光殿

瑠璃光殿は宝物殿であり、弁慶の笈をはじめ、佐藤兄弟の鞍や鏃、義経の兜など、関連するさまざまな品々が展示されています。特に弁慶の笈は福島県の文化財に指定されています。

薬師堂

平安時代末期に玄心によって勧請されたとされる薬師堂は、現在も残っており、佐藤基治が建立したとの言い伝えがあります。

本堂

本堂の内部には、討死した継信と忠信兄弟の母、乙和御前を慰めるために描かれた男装の婦人像があります。この像は継信の妻若桜と忠信の妻楓を表しています。

乙和の椿

薬師堂の裏手には「乙和の椿」と呼ばれる椿の木があります。この椿は、討死した兄弟の母の情が移ったとされ、花が咲く前に蕾のまま落ちるという伝承があります。

交通情報

医王寺へのアクセスは、福島交通飯坂線の医王寺前駅から徒歩で約15分の距離です。また、東北自動車道の福島飯坂ICからは約2.5kmの場所に位置しています。駐車場は第一駐車場（乗用車用）と第二駐車場（観光バス・乗用車用）が完備されています。

医王寺は、歴史的な観点からだけでなく、美しい自然に囲まれた境内や貴重な文化財があるため、訪れる観光客にとっても魅力的なスポットです。

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