佐藤基治

佐藤基治：奥州藤原氏を支えた信夫の武将、源義経の忠臣を育てた父

佐藤基治は、平安時代末期の武将で、奥州藤原氏の家臣として信夫郡（現在の福島県福島市飯坂地区）に勢力を持ち、大鳥城を拠点としていました。彼は、源義経の忠臣として名高い佐藤継信・忠信兄弟の父としても知られています。

生涯

佐藤基治は、信夫庄司、または飯坂温泉の湧く地であることから湯の庄司とも呼ばれていました。父は佐藤季春（季治）である可能性があります。母は藤原公景の娘であり、妻は大窪太郎の娘と、藤原清綱（亘理権十郎）の娘乙和子姫の二人です。

乙和子姫は藤原秀衡の従妹にあたり、彼女との婚姻によって奥州藤原氏との結びつきを強めました。乙和子姫との間には、継信、忠信、藤の江、浪の江などの子がいました。娘の藤の江は秀衡の三男忠衡に嫁ぎ、義父として奥州藤原氏との同盟関係をさらに強固なものとしました。

歴史学者の角田文衛は、佐藤一族の義経への忠誠は、単なる君臣関係では説明できないとし、義経が平泉にいた頃に迎えた妻は基治の娘であったとする説を唱えています。飯坂の佐藤氏系図には、基治の娘である浪の戸が義経の側室であったという記述も存在します。

戦歴と足跡

『信達一統志』によれば、保元2年（1157年）に藤原秀衡の命により白川・会津までの代官と定められ、大鳥城を築城しました。

福島県白河市には、基治に由来する「庄司戻しの桜」という桜があります。治承4年（1180年）、義経に従い鎌倉へ向かう息子たちを見送る際、「もし二人が忠節を全うするならば根付け、そうでなければ枯れよ」と杖を地面に挿したところ、見事に成長し桜が咲いたという言い伝えが残っています。

文治5年（1189年）の奥州合戦では、摺上川にかかる十綱橋を大鳥城防備のために切り落としたとされています。同年8月、源頼朝が奥州討伐のために奥州街道を北上してきた際には、一族とともに石那坂に陣を構えて防戦しましたが、『吾妻鏡』によれば、基治は伊佐為宗らと戦って敗れ、捕らえられたとされています。ただし、同年10月には赦免され、本領に戻ったとも記されています。

死没年について

石那坂での戦死とする説が有力ですが、捕らえられた後に赦免されたとする資料も存在します。また、青森県石名坂には、奥州藤原氏滅亡後に佐藤基治なる人物が逃れてきたという伝承も残っています。

江戸時代の書籍では、文治5年8月4日に70代後半で亡くなったとする記述がありますが、研究者によって見解が異なり、正確な生没年は特定されていません。

佐藤基治が登場する作品

テレビドラマ
義経（2005年、NHK大河ドラマ、演：加世幸市→大出俊）


佐藤基治は、奥州藤原氏を支え、源義経に忠義を尽くした一族の重要な人物であり、その生涯は多くの謎に包まれています。

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