十一年式曲射歩兵砲

十一年式曲射歩兵砲の概要

十一年式曲射歩兵砲（じゅういちねんしききょくしゃほへいほう）は、日本の陸軍が大正11年（1922年）に採用した迫撃砲です。名前の「十一年式」は、設計年の大正11年に由来しています。この迫撃砲は、当時の日本陸軍における砲兵科の管轄のもとで開発され、歩兵部隊が運用できるように設計されています。これにより、歩兵部隊が即時に、そして効果的に火力支援を行うことが可能となりました。

設計と機能

十一年式曲射歩兵砲は、第一次世界大戦中にドイツ軍が使用した化学兵器発射装置を参考にして開発されました。この砲は、ライフリングのある砲身を装備しており、発射方式は墜発式ではなく、撃鉄を起こして引き金紐（「拉縄」と呼ばれる）を引くことによって発射されます。これにより、発射時の安定性が確保されています。

照準の設定は比較的簡素で、射向板を用いて方位を決定し、六分儀で砲身の角度を調整します。専用の精密照準装置は搭載されておらず、限られた機能で運用されていました。また、砲身の仰角に応じた弾道の調整が可能で、4種類の撃茎托筒と呼ばれる部品の交換によって初速を変更できる仕組みが採用されています。これによって、様々な射撃条件に合わせることができます。

運用方法

一個分隊は10人で構成されており、その内訳は4人が砲とその付属品の運搬、6人が弾薬の輸送を担当します。運搬の際は、砲を分解せずに担棒を差し込んで二人で運ぶスタイルが採用されていました。弾薬は、十一年式榴弾（重さ2.5kg）を8発収容した木製箱（重さ26kg）で運び、1門あたり即応48発、後続64発の弾薬を携行することができ、合計112発の弾薬を保持していました。

即応弾は人力で輸送され、一人あたり1箱を肩に担ぐ形で6人で48発を運び、後続の弾薬分隊は馬を用いて弾薬を移動させました。具体的には、馬1頭に4箱の弾薬を載せ、8頭の馬を使って4門分の256発を運搬することができました。

配備と運用実績

十一年式曲射歩兵砲は、歩兵連隊隷下の歩兵砲中隊に配備され、同時に二門の平射歩兵砲と合わせて運用されていました。九二式歩兵砲の導入に伴い、徐々に代替が進められましたが、1941年（昭和16年）になるまで、特に中国戦線では腔発事故の報告が続いていました。これは、二線級の部隊で長期間にわたり使用されていたことを示しています。また、大戦末期には、海軍陸戦隊でもこの砲の保有が確認されています。

大阪造兵廠第一製造所による調査結果では、1942年（昭和17年）10月時点での本砲の生産数は234門とされています。この数値からも、当砲が当時の日本軍にとっていかに重要な火器であったかがうかがえます。

まとめ

十一年式曲射歩兵砲は、日本陸軍の兵器として重要な役割を果たしていました。簡素な設計と効果的な運用方法により、迫撃砲としての機能を果たし続け、戦局においてもその戦力を発揮していました。

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