十二試三座水上偵察機

十二試三座水上偵察機について

十二試三座水上偵察機（じゅうにしさんざすいじょうていさつき）は、日本海軍向けに設計された水上偵察機で、川西航空機製作所と愛知航空機の協力により開発されました。この機体は1940年に愛知航空機によって試作され、正式には零式水上偵察機として採用されることになりますが、ここでは川西製の機体（E13K）について詳しく見ていきます。

開発背景

昭和12年、日本海軍は九四式水上偵察機の後継機を求めており、その開発を川西航空機と愛知航空機に指示しました。海軍の要求する新しい機体は、艦載機としても水上基地から発進可能な長距離偵察機であり、最大速度は370km/hが求められていました。試作機の納期は1938年9月と設定されましたが、愛知航空機はこの期限に間に合わず、その結果失格となりました。しかし、川西航空機は納期ギリギリの1938年9月に試作機を完成、初飛行を実施しました。

機体の概要

川西製の十二試三座水上偵察機は、全金属製の単葉水上機であり、主翼は折りたたみ式でした。進化した機体にはダブル・スロッテッド・フラップが装備されており、滑水時の安定性が考慮されていました。また、垂直尾翼は下方に延長されており、さらなる安定性を提供していました。エンジンの出力や武装も、前モデルの九四式水上偵察機を上回っていました。

性能審査と結果

性能審査は1938年10月から始まりましたが、試作機は飛行時の安定性に課題があり、機体の強度も不十分であることが明らかになりました。また、最大速度も海軍の要求を20km/h下回っていました。このため、川西航空機は改良に着手しましたが、試作1号機はフラッター事故で破損し、試作2号機は試験飛行中に行方不明となるという厳しい状況に陥りました。これを受け、日本海軍は愛知航空機が自主開発していた同型機の審査を開始しました。

最終的な比較審査では、速度以外の性能においては川西製がわずかに優れていることが判明しましたが、機体の信頼性や実用性の観点で大きな劣位に位置づけられ、川西製の機体は不採用となりました。

スペック

• - 全長: 11.73 m
• - 全幅: 14.49 m
• - 全高: 4.45 m
• - 自重: 2,170 kg
• - 全備重量: 3,550 kg
• - エンジン: 三菱 金星三型改 空冷複列星型14気筒 公称1,030 hp × 1
• - 最大速度: 350 km/h
• - 巡航速度: 222 km/h
• - 実用上昇限度: 6,690 m
• - 航続時間: 16時間
• - 武装: 7.7 mm旋回機関銃 × 1、60 kg爆弾 × 4 または 250 kg爆弾 × 1
• - 乗員: 3名

参考文献

• - 野沢正『日本航空機総集 川西・広廠篇』出版協同社、1959年

関連項目

• - 偵察機・哨戒機の一覧

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