十二試二座水上偵察機

十二試二座水上偵察機 (じゅうにしにざすいじょうていさつき)

十二試二座水上偵察機は、大日本帝国海軍が計画した艦載用の水上偵察機です。この機体は海軍が求めた新しいタイプの水上偵察機で、1937年6月に三社に試作が指示されました。これらの三社は、愛知時計電機航空機部（後の愛知航空機）、中島飛行機、川西航空機であり、それぞれが異なるアプローチで開発を行いましたが、最終的には全て不採用となっています。

機体の要求された性能

海軍が示した要求性能には、最大速度361 km/h（195ノット）、着水速度92.6 km/h（50ノット）、偵察時の航続時間6時間（過荷重時）、降下角60度での急降下爆撃が含まれていました。こうした性能要求は、時代の技術水準を反映したものであり、さらなる戦闘能力を求められていました。

各社の試作機の概要

E12A (愛知試製機)

愛知は1937年9月から、設計主務者の松尾喜四郎技師らの指導の下、社内名称「AM-18」として設計を開始しました。1938年2月までに設計が完了し、同年末には試作機が2機完成しました。E12Aは全金属製の単葉双フロートを採用し、革新的な設計ではありましたが、重量過多や操縦性と安定性の問題から不採用となりました。このE12Aの設計は、後の零式水上偵察機にも影響を与えています。

E12N (中島試製機)

中島は同じく海軍の指示を受け、井上真六技師を中心に設計を行いました。1938年末には試作機2機が完成し、こちらも全金属製の単葉双フロートを採用しました。特に、主翼の設計には内藤子生技師の独自の構造解析法が用いられ、従来の手法より軽量化に成功しました。しかしながら、性能は高かったものの、やはり操縦性や安定性の不足が問題視され、不採用となりました。

E12K (川西試製機)

川西も海軍の指示を受けて設計を開始しましたが、単葉単フロートや双フロート機の風洞実験を木製模型で行ったものの、他の試作機との兼ね合いから初期の段階で開発が中止され、最終的なデザインも決定されることはありませんでした。

まとめ

十二試二座水上偵察機は、艦載用水上偵察機の新たな可能性を追求する試みでしたが、そのいずれもが技術的な課題により実用化には至りませんでした。各社が開発した機体は、それぞれ特徴がありながらも、期待された性能を満たすことができなかったのです。これらの試作機は、次の世代の航空機に与えた影響を通じて、戦争の歴史や技術の進化において重要な位置を占めています。

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