十二試水上初歩練習機

十二試水上初歩練習機の概要

十二試水上初歩練習機（じゅうにしすいじょうしょほれんしゅうき）は、大日本帝国海軍が開発を目指した水上練習機です。もともとは「十二試初歩水上練習機」と呼ばれていた名称は、後に変更されました。このプログラムには川西航空機、渡辺鉄工所、日本飛行機の3社が関与し、試作機が製造されましたが、最終的には川西航空機が製造した機体が零式水上初歩練習機として正式に採用されました。ここでは、不採用となった渡辺鉄工所と日本飛行機の試作機について詳しく述べます。

渡辺鉄工所のK8W

渡辺鉄工所が開発したK8Wは、1937年4月に海軍から試作の指示を受け、同年の5月から設計作業を開始しました。1938年8月には試作一号機が完成し、エンジンは瓦斯電製の「神風二型」が搭載されました。この機体は、複葉式の複座型で、双フロートと木金混合の骨組み羽布張りという堅実な設計が特徴でした。しかし、最終的にはこの機体は不採用となり、試作されたのは3機のみという結果に終わりました。

K8Wの設計概要

• - エンジン：瓦斯電 神風二型
• - 構造：複葉複座双フロート、木金混合骨組み羽布張り
• - 生産機数：3機

日本飛行機のK8P

一方、日飛（日本飛行機）は、渡辺鉄工所と同様に海軍から試作指示を受けましたが、設計主務者には田島良幹技師が起用されました。日飛は初めての自社開発に挑むこととなり、そのため、K8Pの試作一号機の完成が1938年11月にまで遅れました。この納期に間に合わなかったため、最終的にK8Pも不合格となりました。生産された機体は2機で、後に飛行実験が行われることになります。

K8Pの設計概要

試験飛行は1940年11月から12月にかけて実施され、出発当初は張線を使用しない計画でしたが、初めての自社開発機であったため当初の設計から変更され、保守的なデザインに落ち着きました。試験結果からは、K8Pが性能的な要件を満たしていたことが確認されています。

K8Pの諸元

• - 全長：8.62 m
• - 全幅：10.81 m
• - 全高：3.63 m
• - 主翼面積：26.0 m²
• - 自重：810 kg
• - 全備重量：1,075 kg
• - エンジン：瓦斯電 神風二型 空冷星型7気筒（165 hp）×1
• - 最大速度：140 km/h
• - 実用上昇限度：3,270 m
• - 乗員：2名

参考文献

この情報は『日本航空機総集 九州・日立・昭和・日飛・諸社篇』によるものです。著者は野沢正氏で、1980年に出版協同社から出版されました。

もう一度検索