十八番

十八番（じゅうはちばん）についての詳細

定義

「十八番」とは、個人が一番得意とする技術や芸を指す言葉であり、特定の動作やその人がよく用いるフレーズも含まれます。この用語は、単に一つの得意ジャンルを示すだけでなく、その人物を象徴する独自のスタイルともなり得るのです。日本の伝統的な文化、とりわけ歌舞伎の影響を色濃く受けているため、その背景にある歴史や意味を理解することが重要です。特筆すべきは、数字の表記が常に漢数字であるべき点で、アラビア数字での表記は誤りとされています。

語源の多様性

「十八番」という言葉にはいくつかの語源が存在し、それらは相互に関連しています。一説によれば、この言葉は歌舞伎から派生しており、初代團十郎やその後の二代目、四代目が得意としていた荒事の演目を特に「歌舞伎十八番」として称賛したことから広まりました。この「十八番」という名称は、七代目市川團十郎によって選ばれた十八の演目に基づいています。

この選ばれた演目には、『勧進帳』『不破』『鳴神』『暫』『不動』『嫐』『象引』『助六』『押戻』『外郎売』『矢の根』『関羽』『景清』『七つ面』『毛抜』『解脱』『蛇柳』『鎌髭』が含まれており、それぞれがその芸を象徴的に表すものとされています。なぜ「18」という数字が特別なのかに関しては、説がいくつかあり、例えば、特定の演目を「十八番」と呼ぶ伝統や、武士が習得すべき武芸の種類が18種類であることが関係しているとも言われています。

仏教との関連

また、仏教にも関連があるとされる「十八番」の由来があります。阿弥陀如来が仏教の教えを実践していた際に立てられた48願の中で、18番目にあたる「念仏をする人を必ず救う」という誓いが、特に際立っています。このことから「十八番」は、「得意であるもの」の代名詞となったとも考えられています。

栄誉と承認の概念

江戸時代には、貴重な書画や茶器を特別な箱に入れ、その真贋を証明するために「箱書き」と呼ばれる鑑定者の署名が添えられました。このことから、真の芸であると認められたものを示す意味で「おはこ」という用語が用いられるようになりました。この「おはこ」という言葉が、「十八番」として広く認知されたのは比較的最近のことで、文化12年（1815年）から天保2年（1831年）のことを記した柳亭種彦の作品が初出です。

まとめ

「十八番」は、ただ得意な技術を表すだけでなく、その人自身の独自のスタイルや個性をも示す表現として現代にも浸透しています。特に日本の伝統芸能である歌舞伎において重要な位置を占めており、豊かな歴史と共にその意味が深まっていきました。この質感が「十八番」という言葉の持つ魅力でもあり、時代を超えて使われ続けている所以です。

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