十十虫は夢を見る

十十虫は夢を見る

『十十虫は夢を見る』（てんとうむしはゆめをみる）は、幹本ヤエによる日本の漫画作品。2010年から2018年まで『ミステリーボニータ』（秋田書店）で連載され、全10巻の単行本が刊行されました。昭和初期の東京を舞台に、夢と現実が交錯するミステリアスな物語が展開されます。

あらすじ

時は昭和4年。東京市本郷區にある喫茶『十十虫』は、他人の夢に入り込み『お告げ』をするという、白皙の旧制高校生・高月英兒に会うためにやってくる客で賑わっていました。

そこに働くのは、怪力の持ち主である新米ウェイトレスの叶美和子。高月とともに様々な事件に遭遇し、解決に奔走します。最初は反発しあっていた二人ですが、次第に惹かれあっていくことに。

しかし、美和子は高名な道場の一人娘であり、高月には複雑な生い立ちがありました。二人の間には結婚への障害があり、困難な状況の中で、彼らはどのような選択をするのでしょうか。

登場人物

高月英兒（たかつき えいじ）
本作の主人公。『十十虫』の常連客で、他人の夢の中に侵入し『お告げ』をする能力を持つ旧制高校生。夢の中の記憶は本人にはありません。不真面目な性格で、蛙が苦手。妾腹の出であることに悩む一面も。

叶美和子（かのう みわこ）
喫茶『十十虫』のウェイトレス。有名な道場の一人娘で、幼い頃から柔道に鍛えられて育ちました。考えるよりも先に体が動いてしまう性格で、暴力沙汰を起こしてしまうことも。モダンガールに憧れる着物少女。

店長
『十十虫』の店長。本名は一之瀬光。高月と美和子の仲を応援しており、様々な策を練って二人の距離を縮めようとします。過去にはサナトリウムで看護婦をしていたことがあり、黒河名男爵と恋仲だった過去があります。

津吹一雄（つぶき かずお）
八研調査會の調査員。上野支部勤務。高月の夢の中に何度も登場しているらしい。女性に優しく、高月には厳しい。後に新設された仙台支部の支部長に任命されます。

伊東百彌（いとう ももや）
津吹の同僚。愛称は「モモ」。東北の貧しい農家に生まれ、幼い頃に奉公に出された過去を持つ。昼は土木工事、夜はバーテンダーとして生計を立てていた。仕込み杖を凶器とする復讐劇に遭遇した後、八研に就職。

能見静香（のうみ しずか）
高月の同級生。風紀点検委員で、趣味は洋裁。年上の女性ゆりと親密な関係。

無藤蕾花（らいか）
高月の「従妹」である女性。女学生で、下級生から人気を集めている。実は高月の異母妹。

無藤瑛一（えいいち）
蕾花の兄。高月のことを可愛がっており、頼み事をされると断れません。心臓が悪く、高月を本家に迎え入れて会社を継がせようと考えています。

川嶌深雪（かわしま みゆき）
気鋭の女性作家。

白澤カンナ（しろさわ カンナ）
瑛一が用意した高月の花嫁候補。関西弁を話す少女。

用語解説

十十虫（てんとうむし）
東京市にある喫茶店。高月が夢の中で人助けの『お告げ』をする場所であり、『お告げ』を受けた人々が高月を求めてやってきます。

八研調査會（やっけんちょうさかい）
八研財閥が設立した調査機関。様々な依頼に対応する何でも屋のような存在です。

書誌情報

幹本ヤエ 『十十虫は夢を見る』 秋田書店〈ボニータコミックスα〉、全10巻
2012年1月16日発売、ISBN 978-4-253-26182-1
2012年5月16日発売、ISBN 978-4-253-26183-8
2012年9月14日発売、ISBN 978-4-253-26184-5
2013年6月14日発売、ISBN 978-4-253-26185-2
2014年6月16日発売、ISBN 978-4-253-26186-9
2015年3月16日発売、ISBN 978-4-253-26187-6
2015年12月16日発売、ISBN 978-4-253-26188-3
2016年10月14日発売、ISBN 978-4-253-26189-0
2017年7月14日発売、ISBN 978-4-253-26190-6
2018年9月14日発売、ISBN 978-4-253-26191-3

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