十月事件

十月事件について

十月事件（じゅうがつじけん）とは、1931年の10月に計画された日本陸軍のクーデター未遂事件を指し、別名で錦旗革命事件とも呼ばれています。この事件は、陸軍内部の中堅幹部たちによって立案されましたが、実行に移されることはありませんでした。

背景

1931年当時、陸軍には社会革新を目指して活動する若手将校の集まりが存在し、その中に「桜会」と「一夕会」がありました。一夕会は社会革新を目的とし、荒木貞夫を指導者に持ち、省内の重要ポストを占有しようとしました。一方、桜会の急進派は、さらなる変革を求めてクーデターを画策していました。

同年9月18日、満州事変が発生し、日本政府は当初の「不拡大・局地解決」の方針を翻し、満洲を軍が掌握する形となります。これを受けて桜会が中心となり、新たな政変を計画しました。

計画の概要

十月事件の計画では、軍隊を用いて全国の主要拠点を攻撃し、内閣の首相や閣僚を暗殺することが目指されていました。具体的には、十月24日の早朝に実行される予定であり、関東軍が日本からの分離独立を政府に報告することでクーデターを開始しようとしました。

巻き込まれるのは、桜会を中心とする約120名の将校のほか、近衛師団や海軍の爆撃機、陸軍の偵察機等が動員される予定でした。暗殺後、閑院宮載仁親王や東郷平八郎が新内閣成立のための命令を出し、荒木が首相に就任する構想が併せて計画されていました。

発覚と処分

この計画は1931年10月16日に陸軍省や参謀本部に漏れ、翌日には主要メンバーが憲兵隊に逮捕されました。計画の漏洩の原因は今村均への情報提供や西田の動きなど諸説ありますが、実行の意思は薄かったとの見方が強いです。
さらに、逮捕後も一部の人物が助命される一方で、未遂に終わることから桜会は解体に追い込まれました。

影響

十月事件の結果、若槻内閣は崩壊し、陸軍内部の権力バランスに変化が生じました。さらに、民間右翼も活動的になり、これが日本政治の不安定さを増す要因となりました。事件は余波を巻き起こし、その後の二・二六事件に繋がる重要な出来事とされています。

このように、十月事件は単なるクーデター未遂にとどまらず、日本の政治史における転機となり、以降の軍部の動向や政党のあり方に大きな影響を与えました。

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