一夕会

一夕会（いっせきかい）

概要

一夕会は昭和初期に日本陸軍内で形成された派閥で、陸軍士官学校を卒業した佐官級の将校たちによって設立されました。彼らの主な目的は、当時の陸軍人事を支配していた長州藩閥の一掃と、総力戦体制の構築でした。この派閥は急速に陸軍の中枢へ進出したものの、内部には国の政策や荒木貞夫陸相の評価に関する意見の相違が生じ、最終的には皇道派と統制派に分かれることとなります。

結成の背景

一夕会の成り立ちには、会員たちの間で共有されていた課題がありました。特に、長州藩閥の影響力の排除と、第一次世界大戦を受けて築かれるべき総力戦体制に対する強い意識がありました。「総力戦」とは、全ての国力を戦争に動員するという考え方であり、会員たちは、今後の戦争に備えてこの体制を整える必要があると認識していました。

結成過程

一夕会の前身は、二葉会と木曜会という二つの会合にあります。これらは直接統合されたわけではありませんが、会員同士が相互に交流するうちに新たに一夕会が持たれました。特に、永田が中心的な役割を果たし、その影響力が周囲にも浸透していきました。

陸軍中枢への進出

一夕会の結成後、彼らは陸軍の人事を刷新し、満蒙問題の解決を優先し、また当時の三大将を支えるという方針を決定しました。岡村が人事局補任課長に就任し、続いて永田が軍務局軍事課長に昇進するなど、徐々に主要ポストを占めていきました。彼らの目的は、陸軍の政策を強力に推進し、満洲における日本の権益を確保することでした。

満洲事変と派閥の分裂

1931年の満洲事変を契機に、一夕会の内部でも対立が激化しました。特に小畑と永田の間では、ソ連に対する方針が大きく異なり、両者は分裂へと至ります。このような対立は、軍の運営や人事を巡る問題でも見られました。特に荒木陸相は内部からの支持を欠き、団結を図れなかったため、次第に分裂の過程へと進んでいきます。

最終的な対立

1933年には正式に二派に分かれ、皇道派と統制派の対立が顕著になります。この分裂によって、陸軍内での権力闘争が激化し、さらには1936年の二・二六事件へと繋がっていくのです。皇道派によるクーデターは天皇の命令によって鎮圧され、結果的に統制派が陸軍を掌握し、日本は長い戦争の時代へ突入しました。

結論

一夕会は、昭和初期の日本陸軍に大きな影響を与えた派閥でしたが、内部の意見対立や権力闘争により、最終的には分裂という形を迎えました。この歴史は、戦前の日本の軍事政策や国家運営における複雑な側面を映し出しています。

もう一度検索