十王町黒坂

十王町黒坂について

十王町黒坂（じゅうおうまちくろさか）は、茨城県日立市に位置する大字で、地域の歴史や神社、自然景観が魅力です。地区名の由来は、「黒坂命（くろさかのみこと）」に関連しています。この神話的な人物は、陸奥地方で蝦夷と戦った後、多珂郡の角枯山で亡くなり、その方面に新たに付けられた地名と考えられています。角枯山は現在の堅破山に比定されています。

地理

十王町黒坂は旧十王町の西端に位置し、北側には常陸太田市折橋、東には十王町高原、南には中深萩町、西には常陸太田市小菅町と接しています。この地域は6800㎡の広さを持ち、谷間の平地は主に田畑として利用されています。集落は堅破川の近くに点在し、南部に若干集中している一方で、北部にはまばらな家屋が見られます。県道十王里美線沿いには「茨城百選 堅破山 黒前神社入口」と書かれた看板があります。たどり着くと約1.5kmの道のりを経て集落に入ります。黒坂橋を渡ると道が二つに分かれ、左側の旧道と右側の昭和60年代に整備された新道があります。

人口

歴史は古く、十王町黒坂の形成は近世まで遡ります。文化年間に成立した「水府志科」では、黒坂村は1657年まで折橋村に所属していたと記されています。正確な分村の時期は不明ですが、1606年の文献には、すでに百姓地として存在していたとの記述があります。また、1665年には145人が住んでいたことも確認されています。

立割新田との関係

黒坂村の開発は水戸藩設立後に活発になり、立割新田が拓かれました。この立割新田は堅破山の登山路近くに位置し、新田開発証文により、年貢は初め3年間免除される特典が与えられました。立割新田は低丘に築かれたため、村の統治を巡り黒坂村と意見の相違が生じました。結果的に1697年には独立したことが記録されていますが、その扱いは時代と共に変化していきました。

文化と教育

近世には黒坂村に真言宗の寺院「尭音坊」があり、周辺の風土も影響を受けています。黒坂小学校は1973年に閉校し、跡地は生活改善センターとして利用されています。開校の時期は1875年頃と推測され、当初は15人の男子児童が在籍していました。

交通と道標

十王町黒坂は、古くから交通の要衝として重要視されてきました。道標が多数残っており、当地への道しるべとして役立てられてきました。特に1818年に建立された地蔵尊像は、古い道標として今も地域の人々に親しまれています。これらの道は、昔から人や物資の往来を支えてきた歴史の一端を物語っています。

自然と名所

地域の自然景観の中で堅破山はとりわけ特筆すべき存在で、1989年には「茨城の自然100選」にも選ばれました。この山には「七奇石」と呼ばれる奇岩が存在し、多くの伝説や歴史的エピソードに彩られています。これらの石は、訪れる人々に様々なストーリーを語りかけています。

まとめ

十王町黒坂は、歴史と自然が融合した特別な地域です。黒坂命や関連する伝説、そして数多くの文化財や自然景観を持つこの地区は、訪れる人に新しい発見を提供してくれるでしょう。地域の人々の努力によって今もなお大切に守られるこの場所は、多くの訪問者を魅了し続けています。

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