十誦律

十誦律について

十誦律（じゅうじゅりつ）とは、仏教の教団において重要な役割を果たす戒律や規則をまとめた律書のことです。この文献は、説一切有部によって広められ、信者たちの修行や生活の指針とされています。

歴史的背景

十誦律は、404年から409年にかけて、仏教僧の弗若多羅、鳩摩羅什、および卑摩羅叉によって漢訳されました。これにより、もともとサンスクリットで記された内容が、中国および日本の仏教徒に理解しやすい形で提供されることとなったのです。この律は、特に教団内での修行者の行動や礼儀、規則を細かく規定しています。

構成と内容

十誦律は、全61巻から成り立っており、次のような主な内容が含まれています。
1. 比丘戒: 257条の戒律が定められており、僧侶が守るべき行動規範が示されています。
2. 比丘尼戒: 女性の僧侶に向けた355条の戒律があり、彼女たちが遵守すべき規則が詳細に記されています。
3. 雑誦: いわゆる「雑誦」など17条が含まれており、これらは日常的な行いに関する注意事項や規定をまとめています。
4. 教団組織についての規則: 教団の運営や秩序を維持するためのルールが記されています。

このように、十誦律は僧侶たちが尊重すべき多岐にわたる規則や戒律を提供しており、仏教信仰の実践において重要な指針となっています。

文化的意義

十誦律は、単なる規則集としてだけでなく、仏教文化の発展にも寄与しています。特に、修行の質や教団の一体感、信者同士の関係性の強化に重要な役割を果たしています。今日でも多くの寺院で、その教えを守りつつ修行を行っている僧侶たちが存在します。

主な文化財

十誦律に関連する重要な文化財も存在します。たとえば、滋賀県大津市にある石山寺では、重要文化財として『十誦律第五十二』が所蔵されています。また、滋賀県長浜市に位置する財団法人布施美術館には、『十誦律巻第五十一』が滋賀県指定有形文化財として展示されており、十誦律の文化的価値を今に伝えています。

関連項目

十誦律は、他の仏教の規則や教えとも密接に関連しています。特に、「説一切有部」や「戒律」といった用語は、仏教徒が理解し、遵守すべき重要な概念です。これらを深く理解することは、仏教の教えを学ぶ上で欠かせない要素となっており、信者たちの精神的な成長に寄与しています。

十誦律は、仏教の理解と実践において非常に重要な役割を果たし、歴史を超えて多くの人々に影響を与え続けています。

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