千坂景親

千坂 景親（ちさか かげちか）

千坂景親は、戦国時代から江戸時代の初期にかけて活躍した武士であり、上杉氏の重臣として知られています。彼は、天文5年（1536年）に千坂景長の子として誕生し、千坂家は上杉氏の四家老の一つとされていました。彼の父である景長は、蒲原郡の白川庄女堂村にある鉢盛城の城主でもありました。上杉謙信が上杉の名跡を継いだ際、景親は謙信の家臣として忠義を尽くすことになります。

経歴と役割

景親は謙信の本営の警護を行う親衛隊のような役割を果たしており、敵の襲撃がなければ出陣の機会はほとんどありませんでした。このため、彼の名前は合戦記にはあまり登場しないものの、礼儀正しさと情報収集の能力が際立っていました。謙信が亡くなると、彼は上杉景勝に仕官し、さらに外交役としての任務が与えられます。

景親の伏見留守居役としての任期は豊臣秀吉の死や徳川家康の台頭など、日本の歴史において重要な局面が連続する時期と重なります。この激動の時代に、景親は上杉家の外交を担当し、豊臣方や家康方と接触を持ちました。これは、小説や直江兼続に登場することでも知られています。1595年に景勝が上洛する際、彼も同行し、大坂城で千利休から茶を受け取ったことも有名です。会津に転封後、彼は大沼郡から5500石を受け取りました。

伏見留守居役とその後

文禄4年（1595年）には伏見城の普請総奉行に任命され、11月には伏見留守居役となりました。彼が活動していた慶長期間は、上杉藩にとって非常に厳しい時期であり、景親はその中で重要な情報を本国に送る役割を担いました。「上杉家御年譜3」には、彼が注進した内容が記されています。また、伏見滞在中には、直江兼続の友人とともに修行をし、玄興和尚に帰依するなど、精神的な探求も行なっています。

その後、関ヶ原の戦いが終わると、徳川家との和睦を提案し、同じく和睦を求める本庄繁長とともに交渉役を務めました。慶長8年（1603年）には米沢藩の初代江戸家老に就任します。

死去と供養

慶長11年（1606年）、71歳で江戸で亡くなると、彼は一花院跡地に供養のための三重の石塔が建てられました。これは、千坂氏の子孫により建立されたもので、那須氏との縁も伝えています。

子孫と影響

千坂家の家督は親戚からの養子である高信が相続しましたが、景親が江戸家老としての職に就いた後、彼は武門の生活を捨て、修行に入る話も伝わっています。江戸時代を通じて千坂氏は米沢藩の要職を担い、彼らの子孫には江戸家老の千坂高房、上杉鷹山の改革に参加した高敦、戊辰戦争で米沢藩総督を務めた高雅など、多くの人物が名を刻みました。これらの業績は、千坂家にとって重要な歴史を形成しています。

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