親衛隊

親衛隊とは

親衛隊（しんえいたい）は、主に君主や元首などの重要人物を護るために設置された武装組織を指します。歴史的には、各国においてその形態や役割に違いが見られますが、共通して高い訓練を受けた精鋭によって構成されています。

概要

日本においては、「近衛」が他国の親衛隊と同等の機能を持つ組織とされ、律令制のもとで「近衛府」は令外官にあたる位置づけでした。近衛府は天平神護元年に設立され、続いて左右の近衛府へと細分化されていきました。明治時代にも近衛局が設立され、近衛兵は新たに親兵から改称され、その指揮が山県有朋に委ねられました。親衛隊は一般に軍の一部として存在する場合が多いですが、特定のケースでは完全に独立した部隊として機能することもあります。

歴史

親衛隊に似た部隊は古代より存在し、アケメネス朝の「不死隊」やテーバイの「神聖隊」が代表的です。これらの部隊は国王と共に戦場に赴いた結果、「親衛隊」と呼ばれるようになりました。特にローマ帝国の親衛隊は、その役割が転換し、皇帝の唯一の護衛部隊として政治的な影響力も持つようになりました。

近世以降は元首が親衛隊と共に戦う姿は見られなくなり、常備軍が一般化する中で親衛隊もエリート部隊としての地位を持つようになりました。近代において日本やドイツ、フランスなどでも親衛隊の形が見られ、各国で特異な役割を果たしてきました。

親衛隊の例

様々な国における親衛隊の例として、ローマのプラエトリアニ、ナチス・ドイツの親衛隊、オスマン帝国のイェニチェリ、ロシアの親衛隊などがあります。これらはそれぞれの国情に応じて重要な役割を果たし、時には戦闘にも参加しました。日本では、昭和初期の近衛師団が皇室の護衛を担い、近衛兵として知られる部隊がこの役割に従事していました。

現代における親衛隊

現代では、いくつかの国で親衛隊に相当する部隊が存在します。例えば、日本の皇宮警察は天皇と皇族を専門に護衛し、警備の任務を遂行しています。また、アメリカ海兵隊も大統領の警護を担当しており、各国独自の組織形態が見られます。

日本史における親衛隊

日本史において親衛隊は近衛府に由来し、律令制下で重要な役割を果たしていました。皇太子の親衛隊として「帯刀舎人」が任命され、その後もさまざまな形で皇室の警護を担当しています。江戸時代には、幕府の身辺警護や戦場での軍旗を守る役割がありました。近代には明治維新後、宮内省の侍従職と近衛師団がその任を引き継ぎ、戦後も警察庁へと管轄が移されています。

日本の親衛隊は歴史とともに形を変えつつも、常に重要な役割を担い続けてきました。現在、皇宮警察は「Imperial Guard」という名称で呼ばれ、事実上の親衛隊として機能しています。近衛部隊の役割は変わり続けていますが、主に治安維持や皇室への直接的な護衛任務に特化していることが特徴です。

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