千歳線 (北海道中央バス)

北海道中央バス 千歳線：歴史と現状

北海道中央バスが運行する千歳線は、札幌市と千歳市を国道36号経由で結ぶバス路線です。本記事では、この路線の歴史的背景、運行状況、そして関連する新千歳空港連絡バスやかつて運行されていた高速ちとせ号について詳しく解説します。

路線開設の経緯

第二次世界大戦後、中央バスは路線網の拡大を本格的に開始しました。1946年（昭和21年）4月、札幌 - 千歳間に国道経由のバス路線を運輸局に申請しましたが、同時期に国鉄バスも同様の路線を申請し競合しました。国鉄バスは、札幌 - 恵庭間が鉄道路線と競合することを理由に中央バスの申請を取り下げさせようとしました。しかし、中央バスは長沼線の免許申請を取り下げることで、1947年4月に千歳線の運行に必要な免許を取得しました。これは1945年（昭和20年）2月の江別 - 当別間の免許取得以来の快挙でした。

路線開設後の隆盛

千歳線が開業した当初、国道はまだ舗装されておらず、砂利道で交通量も多かったため、道路の損傷が頻発し運行は困難を極めました。しかし、1953年（昭和28年）に国道36号が舗装されると状況は一変し、「弾丸道路」と呼ばれるほどの道路状況の改善により運行が安定しました。1950年代からは、国鉄千歳線から乗客を奪うほどの隆盛を誇りました。1957年2月の新聞記事によると、国鉄が運賃を12％値上げしたことで千歳駅の定期外利用者が約1万人減少し、その代わりに30分おきに発車し、快適で運賃に差がない中央バスの千歳線に利用客が流れたと報じられています。

また、この路線を持つことによって、日本航空 (JAL) がチャーターする千歳空港 - 札幌間のバスを運行することになり、後の新千歳空港連絡バスへと繋がりました。

運行形態の変遷

1984年（昭和59年）には1日120往復（札幌ターミナル - 柏葉台団地間の区間便も含む）が運行されていました。1981年（昭和56年）から1991年（平成3年）にかけては、北広島IC - 恵庭IC間を高速道路経由で運行する便（高速ちとせ号）も存在しました。1994年（平成6年）10月の札幌市営地下鉄の延伸開業後には、急行千歳線が運行を開始し、その後も若干の変更を経て、札幌ターミナル - 千歳間の急行便と福住駅 - 千歳間の普通便という形態で運行が続けられました。

1990年代以降、便数は徐々に減少しましたが、様々な派生路線を生み出しつつ、札幌 - 千歳間を国道経由で結ぶという基本は変わらず、60年以上にわたり運行されています。2023年（令和5年）12月1日には、札幌ターミナル発着便および急行便が廃止され、福住駅発着の普通便のみの運行となりました。

現在の運行概況

2023年（令和5年）12月1日現在、千歳線は千歳営業所が主担当、大曲営業所が一部便を担当しています。

運行系統

主な運行系統は以下の通りです。

福住駅（福住バスターミナル） - 札幌ドーム - 月寒東1条19丁目 - 清田団地入口 - 真栄 - 里塚中央 - 三里塚小学校 - 三井アウトレットパーク入口 - 大曲 - 柏葉台団地 - 希望ヶ丘 - 輪厚 - 島松沢 - 北柏木 - 柏木工業団地 - 茂漁/北恵庭駐屯地 - 恵庭駅通 - 森永乳業 - サッポロビール北海道工場 - 上長都 - 自由ヶ丘1丁目 - 錦町十字街 - 千歳駅前

この他、大曲始発千歳駅前行の区間便があります。

過去の変更点

2018年（平成30年）12月1日、（旧道）島松沢経由を廃止。
2020年（令和2年）4月1日、福住駅発着を中心とし札幌ターミナル発着を大幅に減らす。全便里塚中央経由とする。
2022年（令和4年）12月1日、千歳駅発札幌ターミナル行を廃止。札幌ターミナル発千歳駅行1便のみの運行となる。
* 2023年（令和5年）12月1日、札幌ターミナル発着便および急行便を廃止。

札幌ドーム発着臨時特急便（休止中）

札幌ドーム - 輪厚・恵庭駅通・自由ヶ丘1丁目・錦町十字街・千歳駅前

土曜・日曜・祝日の北海道日本ハムファイターズのホームゲーム開催日に、試合に合わせて運行されていましたが、現在は休止中です。

新千歳空港連絡バス

新千歳空港と札幌市内を結ぶ連絡バスも、中央バスと北都交通によって運行されています。これらのバスには、系統別にアルファベットと数字から成るナンバリングが付与されており、新千歳空港や南千歳駅、恵庭、輪厚などの主要停留所を経由します。

歴史

1951年（昭和26年）に千歳空港の民間利用が開始されたことを受け、日本航空 (JAL) との旅客・手荷物輸送契約に基づき、JAL便利用者専用の貸切バスとして運行を開始したのが始まりです。1964年（昭和39年）に輸送契約を解除し、翌7月1日より路線バス「日航線」として独自運行を開始しました。1981年（昭和56年）3月より「（高速）はやぶさ号」の愛称を採用し、1989年（平成元年）10月には「空港連絡バス」に名称を変更しました。

1992年（平成4年）のJR新千歳空港駅開業に対抗するため、全日本空輸 (ANA) と提携していた北都交通と協力し、段階的に両社の時刻表への時刻併記や停留所の共通化を進め、2002年（平成14年）より共通乗車券の取り扱いを開始しました。2006年（平成18年）3月からは、札幌市内と千歳アウトレットモール・レラを結ぶアクセスとして南千歳駅への停車を開始し、空港アクセスに限らない利用を促進しています。

高速ちとせ号（廃止）

かつて運行されていた高速ちとせ号は、札幌ターミナルと新千歳空港を結ぶ高速バスでした。1986年（昭和61年）に運行を開始し、1998年（平成10年）に廃止されました。この路線は、高速道路を経由し、札幌と千歳を結ぶ役割を担っていました。

まとめ

千歳線は、札幌と千歳を結ぶ重要な交通手段として、長年にわたり地域住民や観光客に利用されてきました。路線の変遷や派生路線を通じて、北海道の交通史を垣間見ることができます。新千歳空港連絡バスやかつての高速ちとせ号を含め、その歴史と現状を知ることで、千歳線の役割と重要性を再認識することができます。

もう一度検索