千葉利胤

千葉利胤（ちばとしたね）は、戦国時代の武将で、下総国（現在の千葉県北部）を治めた千葉氏の第25代当主です。第24代当主・千葉昌胤の長男として生まれました。幼名は覚阿弥（かくあみ）といいました。

利胤が幼少の頃、千葉氏は小弓公方や里見氏の侵攻を受け、本拠地であった亥鼻（現在の千葉市中央区）の支配権を失うという苦境に立たされていました。そのため、元服も千葉氏の慣例であった千葉妙見宮（現在の千葉神社）で行うことができず、大永3年（1523年）11月望日に、本拠地である佐倉近くの佐倉妙見宮で行われました。その後、改めて千葉妙見宮へ元服を報告する使者を派遣したと記録されています。

1546年、父・昌胤の死去により家督を相続しました。しかし、当時の千葉氏の家中では、原胤清ら重臣たちの発言力が強く、利胤は必ずしも思うように政治を執り行うことができませんでした。また、この頃には弟の臼井胤寿と家督を巡って争っていたことも知られています。

同年に起きた河越夜戦では、関東諸将の中で唯一北条氏方として参戦しましたが、家督を継いでからわずか1年後の1547年に33歳で死去したため、当主としての目立った事績は残っていません。跡は、実子がいなかったため、末弟である千葉親胤を養子として迎え、家督を継がせました。

佐倉市にある海隣寺には、中世に作られた石塔群があり、その中には利胤の菩提を弔うために建てられたと思われる石塔も含まれています。

千葉利胤は、若くして亡くなったため、戦国大名としての活躍は短いものでしたが、当時の千葉氏が置かれていた厳しい状況を象徴する人物の一人と言えるでしょう。

参考資料

『千学集抄』
佐倉市史
海隣寺中世石塔群

外部リンク

千葉氏の一族

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