千葉昌胤

千葉昌胤（ちば まさたね）

千葉昌胤は、戦国時代に下総国を治めた戦国大名であり、千葉氏の第24代当主です。明応4年（1495年）に、千葉勝胤の嫡男として生まれました。幼名は法阿弥。

生涯

昌胤は、永正2年（1505年）に10歳で元服し、千葉妙見宮でその儀式を執り行いました。この背景には、祖父である千葉孝胤の病死があり、父・勝胤が将来的な家督継承を意識していたと考えられています。永正6年（1509年）には父の隠居に伴い家督を継承しますが、実質的な権力は父・勝胤が握っていました。

この頃、千葉氏と同盟関係にあった古河公方家では内紛が勃発し、足利高基が父・政氏や弟・義明を追放し、公方となります。昌胤は高基を支持する一方、隣国の上総を治める真里谷信清が義明を迎え入れ、これに呼応する動きが千葉家中にありました。さらに、義明軍は永正17年（1520年）に千葉氏の重臣である原氏の居城、小弓城を奪い、小弓公方を名乗ります。これにより、千葉氏ゆかりの地である亥鼻にまで小弓公方の勢力が浸透し、嫡男・利胤の元服も居城である佐倉で行わざるを得ない状況となりました。

このような状況下で、昌胤は急速に勢力を拡大していた相模の北条氏と連携し、小弓公方勢力に対抗しようとします。また、千葉氏の庶流でありながら原氏の家臣であった高城胤吉を側近に取り立て、妹婿としました。しかし、大永7年（1527年）に北条氏綱と足利義明が和睦すると、千葉氏、真里谷氏、里見氏もこれに加わり、この時期は義明の傘下にあったと考えられています。

享禄5年（1532年）に父・勝胤が亡くなると、昌胤は名実ともに千葉氏の当主となり、家中の実権を完全に掌握しました。その後、嫡男・利胤の正室に北条氏綱の娘を迎えています。しかし、天文3年（1534年）に真里谷氏で内紛が起こったのを機に足利義明から離反しますが、義明に攻められ翌年には降伏しています。

天文6年（1537年）には、高城胤吉の居城である小金城の完成を祝うため自ら訪問し、茶会を催す名目で胤吉と共に国府台城を視察しました。その後の、足利義明と北条氏綱の関係が悪化すると、天文6年12月に古河公方・足利晴氏に内応して再び義明から離反。天文7年（1538年）には、小弓公方・足利義明が北条氏討伐に向かうと、昌胤は古河公方足利晴氏の命を受け、高城胤吉と共に第一次国府台合戦に参戦し、義明の戦死を知ると軍を小弓城に進め、18年ぶりに同城を千葉氏の支配下に奪還しました。しかし、この戦いをきっかけに北条氏の勢力が房総半島へも拡大し、千葉氏はその影響を強く受けることとなりました。

天文15年（1546年）1月7日に死去。家督は嫡男の利胤が継ぎました。子には利胤、胤富のほか、臼井氏を継いだ臼井胤寿、原胤吉の養子となった原胤家、海上山城守の養子になった海上胤盛らがいます。

昌胤の菩提を弔う石塔は、千葉県佐倉市の海隣寺にある海隣寺中世石塔群の中に現存しています。そこには昌胤を弔った銘文が刻まれています。

昌胤は、激動の戦国時代において、千葉氏の勢力維持に奔走した武将でした。小弓公方との対立、北条氏との連携、そして離反といった複雑な情勢の中で、千葉氏の存続のために力を尽くしました。

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