千葉県の貝塚の一覧

千葉県の貝塚：縄文時代の痕跡を辿る

千葉県は、日本全国の貝塚の約1/4が存在するという、貝塚の宝庫です。その数はおよそ700ヶ所にものぼり、縄文時代の生活や環境を今に伝える貴重な遺跡群となっています。

縄文海進と貝塚

縄文時代には、現在よりも海面が高く「縄文海進」と呼ばれる現象が起きていました。これにより、現在の内陸部にも海水が入り込み、貝塚が形成される要因となりました。例えば、現在の埼玉県東部や利根川印旛沼一帯、九十九里浜など、現代では海から遠い場所でも海産性の貝塚が見られます。

荒海貝塚のように、縄文後期までは海の貝を中心とした貝塚が作られていましたが、縄文海進が終わり海面が後退すると、同じ場所が汽水性のヤマトシジミを主体とする貝塚に変わるなど、環境変化に応じた貝塚の変化も見られます。しかし、四街道市の八木原貝塚のように、貝塚形成当時としても海から遠い場所で海産物を入手していたと考えられる貝塚も存在します。

貝塚用語解説

時代細分：「縄文前期黒浜式」は縄文時代前期の黒浜式土器の時期を指します。
土器：「縄文土器(関山,黒浜)」は関山式土器と黒浜式土器が出土していることを意味します。
古代：古墳時代から平安時代を指し、「古代の土師器」はこれらの時代の土師器を意味します。
湮滅：貝塚が開発や発掘調査により消滅した状態（2020年時点）。都市部の貝塚に多いです。
鹹水：塩辛い水、つまり海水のこと。ハマグリなどの海産貝が出土する貝塚です。
汽水：海水と淡水の混ざった河口付近の水を指し、ヤマトシジミなどが代表的です。
純鹹/主鹹：それぞれ海産貝のみ、または主に海産貝で形成された貝塚を指します。
土坑/土壙：土坑は人為的に掘った穴、土壙は墓穴の可能性が高い穴を指します。土坑墓は墓穴のことです。
指定：国指定遺跡、県指定遺跡、市指定遺跡などを表します。2021年現在、千葉県には国の特別史跡および史跡となっている貝塚が13個あります。

土器の時代（編年）

縄文土器の時代は、その様式によって細かく分類されています。

縄文早期：井草式、夏島式、稲荷台式など
縄文前期：花積下層式、関山式、黒浜式、諸磯式（a,b,c）
縄文中期：十三菩提式、五領ヶ台式、勝坂式、加曾利E式
縄文後期：称名寺式、堀之内式、加曾利B式、曽谷式、安行Ⅰ,Ⅱ式
縄文晩期：安行Ⅲ式、姥山式、前浦式、千網式、大洞式、荒海式

各土器様式の年代は、研究によって詳細に定められています。

貝塚の所在地表示について

本記事では、可能な限り最新の住所表記を使用していますが、資料によっては古い情報が残っている場合があります。特に、千葉市おゆみ野地区などのニュータウンでは大規模な住所変更が行われているため、注意が必要です。

千葉県の貝塚一覧

以下に、千葉県内の主な貝塚が所在する市町村を列挙します。

野田市
流山市
柏市
我孫子市
松戸市
市川市
鎌ケ谷市
船橋市
習志野市
白井市
印西市
八千代市
佐倉市
八街市
酒々井町
栄町
成田市
芝山町
神崎町
香取市
多古町
東庄町
銚子市
旭市
匝瑳市
横芝光町
山武市
東金市
九十九里町
大網白里市
千葉市花見川区
千葉市稲毛区
千葉市若葉区
千葉市中央区
千葉市緑区
四街道市
市原市
袖ケ浦市
木更津市
君津市
富津市
長柄町
茂原市
長生村
一宮町
いすみ市
勝浦市
鴨川市
南房総市
館山市

参考文献

(参考文献リストは省略)

関連項目

東京都の貝塚の一覧
埼玉県の貝塚の一覧
* 神奈川県の貝塚の一覧

千葉県の貝塚は、縄文時代の自然環境や人々の生活を知る上で、非常に重要な手がかりとなります。これらの遺跡を訪れることで、古代の人々の暮らしに思いを馳せることができるでしょう。

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