午前中に…

吉田拓郎の『午前中に…』

『午前中に…』は、2009年4月15日に吉田拓郎が発表したスタジオ・アルバムです。このアルバムは、2003年にリリースされた『月夜のカヌー』から約6年ぶりの新作であり、エイベックスへの移籍後に制作された初のアルバムでもあります。また、1989年に発売された『ひまわり』以来20年ぶりに、全ての楽曲を自身の手で作詞・作曲した作品です。

背景と意義

『午前中に…』のリリースは、長いブランクの後の新たなスタートと捉えられます。拓郎にとって、自らの音楽の原点を再確認し、今の自分を表現したいという強い意志があったことでしょう。アルバムには、彼の成長や変化、そして普遍的なテーマが織り込まれています。

このアルバムは、音楽的にも重要な位置を占めており、1999年に発売された『吉田拓郎 THE BEST PENNY LANE』以来、実に9年5か月ぶりにオリコンTOP10にランクインしました。63歳1か月でのTOP10入りは、当時の記録保持者であった小田和正の60歳4か月を上回り、史上最年長の記録となりましたが、その記録は後に小田が更新しました。

収録曲

アルバムに収録されている楽曲は全て、吉田拓郎の作詞・作曲によるものです。以下は、主な収録曲です：

• - ガンバラナイけどいいでしょう

ストリングスアレンジは瀬尾一三が担当し、アサヒビールのCMソングにも使用されました。

• - 歩こうね

コーラスアレンジは宮下文一によるものです。

• - フキの唄と真夜中のタクシー

この2曲も宮下文一がコーラスアレンジを手がけており、特に「真夜中のタクシー」では、セリフが多く登場し、タクシーの運転手と中年男性の会話を描いています。この中にプロ野球選手やゴルファーの名前が出てくるのも特徴です。

• - 季節の花

編曲は小倉博和が担当。

• - 今は恋とは言わない、ウィンブルドンの夢、早送りのビデオ、Fの気持ち、あなたを送る日

これらの曲も拓郎のメッセージが色濃く反映されています。「あなたを送る日」は、1970年代に彼のマネージャー・プロデューサーを務めていた陣山俊一を追悼するために書かれた楽曲です。

参加ミュージシャン

このアルバムには、多くのミュージシャンが参加しています。ギターは小倉博和や鈴木茂、ドラムは島村英二や村石雅行、ベースには松原秀樹や三日月知春がクレジットされています。また、コーラスには多彩なアーティストが名を連ねており、そのハーモニーがアルバム全体に彩りを与えています。ストリングスは、大石昌良とそのオーケストラによってアレンジされています。

『午前中に…』は、吉田拓郎が音楽への情熱を再燃させ、過去の経験をもとに新しい作品を生み出したことを証明する重要なアルバムです。彼の音楽に込められた思いや情感は、今も多くのリスナーに愛され続けています。

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