午馬

ウー・マ：香港・台湾映画界の多才な巨匠

1942年、中国天津で生まれたウー・マ（馮宏源）は、香港と台湾の映画界で俳優として、そして監督として輝かしいキャリアを築いた人物です。1959年に香港に移住、1963年にはショウ・ブラザースに入社し、1964年の『花木蘭』で俳優デビューを果たしました。

俳優としての活躍

張徹や胡金銓といった巨匠監督の作品に出演する傍ら、助監督も務め、多様な経験を積んだウー・マは、コミカルな役からシリアスな役まで幅広い演技力で知られていました。特に1980年代から1990年代にかけては、香港映画に欠かせない存在として人気を博しました。

温厚で好人物的な役柄を得意としていた彼ですが、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』シリーズのイン道士役や、『奇蹟/ミラクル|奇蹟_ミラクル』での爺やチャン役などでは、コミカルな面を抑え、重厚で奥深い演技を見せ、観客を魅了しました。一方で、『風の輝く朝に』で見せたギャングのボス役など、悪役を演じたこともあります。

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の大ヒットを受け、ウー・マはイン道士役で多くの亜流映画に出演。中でも自身が監督を務めた『画中仙』では、同作でヒロインを演じたジョイ・ウォンと再び共演を果たしています。

監督としての才能

俳優として活躍する一方で、ウー・マは監督としても才能を発揮しました。1970年に監督デビューを果たし、1970年から1998年の間に40本以上の映画作品を監督。初期には恩師である張徹と共同で監督を務めた作品もあり、その堅実な演出は高く評価されています。

監督としての彼の作品は、日本でも一部ビデオ化されており、その才能の一端を知ることができます。1987年には『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』で第24回台湾金馬奨助演男優賞を受賞するなど、俳優と監督の両面で高い評価を得ていました。

惜しまれる死と、俳優としての生き様

2014年2月4日、肺ガンのため61歳で死去。夫人からの発表によると、ガン判明後も撮影現場に立ち続け、友人たちと過ごす時間を大切にしていたといいます。夫人からの談話には、家族よりも仕事や友人との時間を優先し、俳優としての道を最後まで全うした彼の生き様、そして充実した最期がうかがえます。

ウー・マの死を悼み、親交の深かった林威（ラム・ウェイ）は、夫人と遺族へのサポートを表明しました。林威は、『プロジェクトA2』での署長役、『省港旗兵・九龍の獅子』、『迷宮少女/サイキック・ガール』など、数々の作品でウー・マと共演し、公私ともに深い関係を築いていました。

数々の代表作

ウー・マの出演作品は多岐に渡り、その代表作には『霊幻道士』シリーズ、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』シリーズ、『奇蹟/ミラクル|奇蹟_ミラクル』、『プロジェクトA』など、数々の名作が挙げられます。これらの作品群は、香港映画史において重要な位置を占め、ウー・マの確かな演技力と存在感を示しています。また、監督作品にも多くのファンがおり、その作品世界は高く評価されています。ウー・マは、俳優、監督として香港・台湾映画界に多大な貢献を果たした、まさに巨匠と言える存在でした。

参考文献

CinemAsie.com
中文電影資料庫
allcinema
KINENOTE
* IMDb

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