半減期 (薬学)

薬学における半減期について

半減期（はんげんき）とは、生体内の物質や医薬品が血中でその濃度を半分に減少させるまでの時間を指します。この概念は、主に薬剤の体内動態を理解する上で重要な指標です。具体的には、半減期は「血中濃度半減期」や「消失半減期」という言葉でも知られ、文献上では一般的に T1/2 や t1/2 と表記されます。

半減期の意義

半減期は、薬剤が体内でどのくらいの期間効果を持続するかを測る目安として利用されており、治療における薬の投与スケジュールを決定する際にも大きな影響を与えます。一般的に、血中濃度が最高値の半分以下になると離脱症状が現れやすくなるため、医療現場ではこの値を参考にしています。しかし、半減期が示すのはあくまでも目安であり、個人差や環境要因（たとえば、運動や飲食、発汗など）によっても大きく変化する可能性があります。

Cmax と Tmax の関係

薬を服用したとき、その成分の血中濃度は時間とともに変化し、最初は上昇し、やがて最高血中濃度（Cmax）に達します。Cmax に達するまでの時間は最高血中濃度到達時間（Tmax）と呼ばれます。Cmax に達した後、血中濃度は徐々に減少していくわけですが、この減少過程で重要となるのが半減期です。血中濃度の低下は、主に肝臓での代謝や尿、便による排出によって引き起こされます。

離脱症状と投与タイミング

薬物治療を行う上で、離脱症状が発生する可能性があります。特に、ある特定の病状を持つ患者においては、半減期が来る前に再投与しなければならない場合もあります。また、Cmax に達するまでの時間が長い薬剤の場合、血中濃度が低いからといって早期に投与を増やすと、逆にCmaxが過剰になってしまうリスクもあります。このことから、半減期は薬の投与頻度に密接に関係していると言えます。

例えば、半減期が約8時間の薬剤は、通常、毎食後の投与が推奨され、24時間前後の半減期を持つ薬は1日1回の投与が基本となります。注意が必要なのは、これは持続的な効果が必要な薬剤に適用される一般的なガイドラインであり、疼痛などの一時的な治療を目的とした頓服薬にはあまり関係しません。

半減期のパターン

半減期は、薬剤のCmaxに達した後に指数関数的に減少します。例えば、ある薬AのCmaxが100のとき、半減期が3時間であれば、その濃度は3時間後に50に減少します。さらに3時間が経つと25、次の3時間で12.5と、各半減期ごとに一定の時間が必要となります。このようにして、濃度が時間とともに半分ずつ減少していく過程は、初期段階では急激ですが、時間が経てば経つほど減少のペースは緩やかになります。

この知識は薬物動態学や医療の現場において非常に重要であり、適切な治療を行うための基礎でもあります。

もう一度検索