半田真理子

半田 真理子

官僚造園家・緑化研究者として

半田 真理子（1947年3月14日 - 2014年2月17日）は、日本の官僚造園家であり、環境プランナー、公園緑地プランナー、緑化研究者としても活躍しました。彼女の専門は、環境計画、公園緑地計画、そして造園学でした。長年にわたり建設省（現国土交通省）の要職を歴任し、特に土木研究所では環境部長などを務め、都市における緑の役割とその技術的な発展に深く関わりました。東京都文京区の出身です。

キャリアと功績

東京大学で教養学部ドイツ文化専攻と農学部を卒業した後、東京都建設局を経て建設省に入省しました。都市局公園緑地課や関東地方建設局で経験を積んだ後、1979年には開園準備が進められていた国営昭和記念公園の調査事務所で調査設計課長に就任し、公園の計画・設計に初期段階から携わりました。これは彼女が関わった代表的な公共事業の一つとなります。

1981年から1982年にかけては、オーストリア政府の奨学金を得てウィーン工科大学に留学し、国際的な視野を広げました。帰国後は、経済企画庁、国際花と緑の博覧会協会、建設省都市局公園緑地課などで多様な職務を経験。1989年からは建設省土木研究所に移り、道路部緑化研究室長、環境部緑化生態研究室長、環境部長を歴任し、緑化技術の研究開発を推進しました。その後、財団法人都市緑化技術開発機構では都市緑化技術研究所長を務めるなど、研究顧問としてもその知識と経験を活かしました。

学術的な貢献としては、1997年に「都市の熱環境に及ぼす緑被の効果に関する研究」で博士（農学）の学位を取得。都市における緑地がヒートアイランド現象の緩和にどのように貢献するかを探る、重要な研究でした。この他にも、都市緑化や公園に関する論文を多数執筆しています。

また、一般向けの啓発活動にも熱心でした。1985年に刊行した著書『都市に森をつくる―私の公園学』は、国際交通安全学会賞著作部門を受賞するなど高い評価を得ました。共著も多く、『もり 人 まちづくり―丹波の森のこころみ』、『知っておきたい 屋上緑化のQ＆A』、『駐車場からのまちづくり―都市再生のために』などがあり、幅広い視点から緑と都市の関わりについて論じました。

多様な活動と社会貢献

半田氏は、その専門知識と経験を活かして、様々な公的な役割を担いました。財団法人公園緑地管理財団の研究顧問や、都市緑化技術開発機構の理事・研究所長を務めたほか、国土交通省や産業構造審議会の委員、東京都の選定委員会委員など、政策形成や技術基準の策定に関与しました。さらに、東京大学や東京農業大学では非常勤講師や客員教授として教鞭をとり、次世代の育成にも力を注ぎました。

造園分野における女性技術者の地位向上にも貢献し、1990年には全国女性造園技術者の会を設立し、初代会長に就任しました。技術士（建設部門および総合技術管理部門）としての資格も持ち、専門家としての信頼も厚いものでした。

関わった主なプロジェクトは、国営昭和記念公園の計画設計のほか、地域活性化につながる兵庫丹波の森構想のコンセプト提案、都立砧公園野球場のダッグアウト設計など、多岐にわたります。彼女の視点は、単なる緑化に留まらず、それが人々の生活や都市全体の環境、さらには地域の文化や景観にどう貢献できるかという幅広いものでした。

2014年2月17日、呼吸不全のため66歳で死去しました。半田真理子の功績は、日本の都市における緑地空間の質向上と、環境問題への意識啓発に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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