卒業制作

卒業制作とは

卒業制作は、主に美術系や建築系の大学・専門学校において、学生が卒業前に取り組む最終制作課題の通称です。学生にとっては、在学中の学習成果を総合的に示す集大成であり、その後の就職活動や作家活動に大きな影響を与える重要な機会となります。

絵画分野の卒業制作

絵画専攻の卒業制作では、一般的に100号程度の油絵や日本画が制作されます。しかし近年では、インスタレーションやパフォーマンスといった多様な表現方法を取り入れる学生も増えています。このような傾向は、特に都心部の美術大学で顕著に見られますが、地方の学校ではまだ少数です。

卒業制作された作品は、学校内や近隣の美術館などで展示発表されることが一般的です。中でも、関東地方の主要な美術大学が集まって作品を展示する「5美術大学展」や、東京芸術大学の卒業制作展は、国内最大規模の絵画科卒業制作展として知られています。これらの展示会は、作家を目指す学生にとって、自身の作品をギャラリストやキュレーターにアピールする絶好の機会となっています。

建築分野の卒業制作

建築分野の卒業制作は、卒業設計と呼ばれることもあります。建築学科だけでなく、造園学やランドスケープ学科などでも実施されることがあります。卒業制作は、学生がこれまでに培ってきた設計能力を示す重要な成果物であり、就職活動においてもポートフォリオの重要な一部を構成します。

全国的なコンペティションとしては、「全国学生卒業設計コンクール」「全国大学・高専卒業設計展示会」「卒業設計日本一決定戦」などが有名です。また、各大学でも独自の表彰制度を設けており、優秀な作品には賞が授与されます（例：東京大学の辰野賞、京都[[大学]]の武田五一賞など）。

卒業制作と卒業研究（論文）

大学によっては、卒業制作と卒業研究（論文）のいずれかを選択できる場合や、両方が必修となっている場合があります。大学院への進学を希望する場合には、両方が必修となることが多いです。また、卒業制作と卒業研究の両方が必修であっても、専攻分野によって評価の割合が異なることがあります。例えば、材料系や構造系の専攻では卒業研究の比重が高く、意匠系や建築計画系では卒業制作の比重が高くなる傾向があります。

卒業制作の意義

卒業制作は、学生がこれまでの学習成果を総合的に示す場であり、自身の能力や個性を表現する絶好の機会です。また、卒業後の進路を決定づける重要な要素でもあり、就職活動や作家活動のスタートラインとして、その後のキャリアに大きく影響を与えます。学生は、卒業制作を通じて、社会に出るための準備をするとともに、自身の可能性を追求していくことが求められます。

関連事項

* 卒業論文

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