協同組合党

協同党（きょうどうとう）

英国における協同組合運動をそのルーツとする協同党（英語: Co-operative Party、ウェールズ語: Y Blaid Gydweithredol）は、中道左派の政治勢力です。協同党の誕生は1917年で、これは協同組合企業が公平な扱いを受けられるようにするための政治的な動きを強め、協同組合の理念を共有する人々を議会に送り出すことを目的としていました。その起源は、1881年に設立された協同組合連合の議会委員会にまで遡るとされています。

歴史と労働党との関係

協同組合連合の議会委員会は、初期には主に議員へのロビー活動を通じて協同組合の利害を代弁していましたが、これは不十分であるとの認識が広まり、直接的な議会代表の必要性が叫ばれるようになりました。特に第一次世界大戦が始まると、協同組合はその会員数や取引規模を拡大させましたが、政府による配給制度や徴兵制度の下で不利な状況に置かれました。不当な利益を得ていないにも関わらず超過利潤税を課されるなどの問題に直面し、政府や軍の委員会における代表権の不足が顕在化しました。このような背景の中、1917年5月に開催された英国協同組合運動の年次集会で、国政・地方両レベルでの直接的な代表選出を目指す動議が圧倒的多数で承認され、同年10月には中央協同組合議会代表委員会が設立されました。これが後の協同党となります。

当初、協同党は独自の候補者を擁立して選挙に臨んでいました。しかし、1923年の地方選挙での候補者競合などを経て、1927年には労働党との間で選挙協力協定が結ばれました。この「チェルトナム合意」として知られる協定により、両党はお互いの選挙区で候補者を立てず、共同で候補者を擁立する形式が確立されました。両党から推薦を受けた候補者は「労働協同党」として選挙に臨みます。この協定は幾度か改定を経て、現在も両党の関係の基盤となっています。

協同党は、労働党とは法的に独立した組織であり、選挙管理委員会にも個別の政党として登録されています。党員に対しては、労働党や北アイルランドの社会民主労働党（SDLP）以外の政党への同時加入を禁じています。

設立当初、協同党の活動は主に協同組合の商業的・流通上の問題に焦点を当てていましたが、1930年代からは、協同組合の価値観を社会全体に広める活動へとその幅を広げていきました。持続可能な経済社会の実現を目指し、小売業や産業における協同組合の活動を通じて市民活動や社会的責任を果たすことを重視しています。

組織と運営

協同党は、他の多くの政党とは異なり、特定の党首を置いていません。その運営は、全国執行委員会議長、議会協同党院内会派議長、そして幹事長の三役によって担われています。選挙管理委員会への登録においては、幹事長が党首およびnominating officerの役割を兼務しています。

党の最高意思決定機関は全国執行委員会（NEC）です。この委員会は、党員、関連する協同組合、労働組合、議会協同党、そして英国協同組合の代表者によって3年ごとに選出されます。協同党は国家からの資金援助を受けず、主な収入源は党員の党費と関連団体からの協力金です。

地方レベルでは「社会協同党（Society Co-operative Parties）」と呼ばれる自律的な組織があり、地域の協同組合がこれを後援しています。社会協同党は通常いくつかの地方公共団体を管轄する支部を持ち、党員はここで政策について議論したり、候補者の選出に関わったり、地域の労働党組織と連携したりしています。

支援基盤と議会での活動

協同党は、英国の主要な生活協同組合や労働組合など、様々な協同組合や関連団体からの支援を受けています。特に大規模な生活協同組合の多くは協同党の支援組織となっており、年次総会での決議を経て資金的な支援を行っています。また、複数の労働組合も協同党の支援団体に名を連ねています。

協同党は、議会（庶民院、貴族院）だけでなく、スコットランド議会、ウェールズ議会、ロンドン議会、そして多くの地方政府レベルにも代表を送っています。2024年7月現在、庶民院には43名の議員が所属していますが、これらの議員は全て労働党と共同で活動しており、両党の区別が表面化することは少ないです。しかし、投票用紙上では多くの場合「労働協同党」として表示され、候補者・議員は印刷物やウェブサイトで協同党のロゴを使用しています。

候補者となるためには、英国協同組合運動の政治部門である協同党の一員であることに加え、通常は労働党にも加入し、「労働党-協同組合」の候補者として立候補する必要があります。これは、両党間の緊密な連携を示す仕組みです。

現在、協同党の代表は、庶民院、貴族院、スコットランド議会、ウェールズ議会、ロンドン議会の議員に加え、直接選挙で選出されるポリス・アンド・クライム・コミッショナーや市長など、多岐にわたります。地方自治体にも及んでいます。

協同党は、共通の価値観を持つ議会労働党を通じて、協同組合の原則に基づいた政策課題の解決を推進し、英国社会において協同組合の理念に基づいた活動を展開しています。

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