南中ソーラン

南中ソーランとは

南中ソーランは、民謡歌手の伊藤多喜雄が、北海道の民謡であるソーラン節をアップテンポにアレンジした楽曲を使用し、踊るスタイルの通称です。この踊りは、北海道稚内市立稚内南中学校の教員と生徒によって考案されたことが名前の由来となっています。現在では、学校の運動会や体育祭などの行事で広く踊られるだけでなく、大学や一般のサークルでも親しまれており、様々なアレンジが加えられています。学校によっては、自校の名前を冠した「〇〇ソーラン」という名称で踊られることもあります。

通称の由来

稚内南中学校では、当初は単に「ソーラン」と呼ばれていましたが、全国の学校で踊られる過程で「南中ソーラン」という通称が広まりました。その結果、平成12年からは同校でも「南中ソーラン」という名称が使われるようになりました。

歴史

荒れた学校からの再生

1984年頃、稚内南中学校は授業崩壊、校内暴力、いじめ、生徒の犯罪が多発するという非常に厳しい状況にありました。しかし、1985年には学校再生の基礎が築かれ、第1回文化活動発表会が開催されました。その翌年の発表会では、郷土芸能部の生徒たちが「沖揚げ音頭」をソーラン節に合わせて演舞しましたが、生徒からはテンポが遅く歌詞が古臭いと不評でした。

新しいソーラン節の誕生

1991年、テレビコマーシャルでロック調にアレンジされたソーラン節を耳にした教員が、この曲なら生徒に受け入れられると直感しました。その曲こそが、伊藤多喜雄の「TAKiOのソーラン節」でした。当時、正調ソーラン節には教本がありましたが、ロックソーランにはなかったため、教員たちがニシン漁の所作を参考に振り付けを考案し、生徒たちの意見も取り入れながら、新しいソーラン節が完成しました。この新しいソーラン節は、同年の文化活動発表会で初披露されました。

全国への広がり

1992年、NHKの取材で南中ソーランが紹介されたことをきっかけに、全国へとその名が知れ渡るようになりました。その後、伊藤多喜雄の推薦により、第9回日本民謡民舞大賞に出場し、審査員奨励賞を受賞しました。さらに、1993年の第10回大会ではグランプリ（内閣総理大臣賞）を受賞し、南中ソーランは全国的な注目を集めました。この際、テレビ番組で学校の過去の荒れた状況が紹介されたことで、学校再生の象徴としても認知されるようになりました。

メディアでの紹介

1998年には、南中ソーランを題材にした映画『稚内発-学び座』が制作され、新聞などでも大きく報道されました。さらに、1999年にはテレビドラマ『3年B組金八先生』で南中ソーランが取り上げられたことで、その人気はさらに加速しました。ドラマでは、文化祭で南中ソーランを披露するシーンが描かれ、多くの視聴者の心に響きました。2003年には、伊藤多喜雄がNHK紅白歌合戦で「TAKiOのソーラン節」を披露し、生徒たちの演舞が稚内市から同時中継されました。

学校再生との関係

一般的に「南中ソーランは荒れた学校から生まれた」「ソーランによって学校が良くなった」というイメージがありますが、実際には、学校再生のために尽力した結果、学校が落ち着いてから「南中ソーラン」が誕生しました。映画では、ソーランを通して学校と生徒、そして地域がまとまり再生していく様子が描かれていますが、これは事実を基にした物語です。

著作権について

南中ソーランの振り付けを再構成し指導した春日寿升氏は、営利目的での利用、無許可指導を禁じており、著作権上の注意を呼び掛けています。春日氏の指導を受けずにこの踊りを踊ることは、春日氏の主張によって認められていません。そのため、公益性を求める伊藤多喜雄氏の音楽事務所との間で意見の相違が生じ、現在も関係修復には至っていません。

関連情報

• - ソーラン節
• - 稚内市立稚内南中学校
• - 伊藤多喜雄
• - 3年B組金八先生

稚内南中学校ホームページ
伊藤多喜雄公式サイト
春日寿升公式サイト

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