南保富士

南保富士は、富山県下新川郡朝日町に位置する標高727mの山です。富山県登山連盟が選定する「富山の百山」の一つに数えられています。

この山は、近代以降に富士山信仰の影響を受けて「富士」の名が付けられました。独立峰ではありませんが、南保地区から見ると富士山のように美しい円錐形の山容をしています。山頂には地蔵が安置されており、信仰の対象としても親しまれてきました。

山名は、富士講という富士山信仰にちなんで、南保地区から見た山の姿が綺麗な円錐形であることから名付けられました。かつては「仁王山」や「二王山」と呼ばれていた記録も残っていますが、いつしか「南保富士」という名で広く知られるようになりました。

山の麓にはスギやカラマツの混合林が広がっており、尾根付近にはアカマツが自生しています。また、環境省によって準絶滅危惧種に指定されているヒメシャガが自生しており、貴重な植物を観察することもできます。

登山道は、かつて集落があった池之原からの「朝日ふるさと歩道」の一部として整備されています。気軽に登山を楽しむことができるため、多くの登山者に親しまれています。山頂からは、周囲の山々や日本海の壮大な景色を一望でき、その眺望の良さも魅力の一つです。

『富山県山名録』桂書房
『富山の百山』北日本新聞社