南十字星国家勲章

南十字星国家勲章（みなみじゅうじせいこっかくんしょう、ポルトガル語: Ordem Nacional do Cruzeiro do Sul）は、ブラジルの歴史において重要な位置を占める勲章です。この勲章は、ブラジル皇帝ペドロ1世が1822年 12月1日に設立しました。その設立は、ブラジルの独立（1822年 9月7日）とペドロ1世の戴冠式を記念することを目的としています。名前の「南十字星」は、ブラジルが位置する地理的な特性に由来しており、また、1500年に初めてブラジルに到着したヨーロッパ人によって与えられた「テラデサンタクルス」（聖十字架の地）を象徴しています。

歴史的な背景

南十字星国家勲章は、もともと「帝国十字架勲章」として知られており、ブラジル帝国の独立とその初代皇帝であるペドロ1世の戴冠を記念する形で設立されました。ブラジルが独立した後、帝国の創設者であるペドロ1世の戴冠式に際して、ブラジル自身の勲章が創設されました。この勲章は、その後の栄光を支える重要なシンボルとなりました。

ブラジルの君主制が崩壊すると、1891年に制定された初の共和制憲法により貴族の称号と帝国の勲章は廃止されました。しかし、1932年にはジェトゥリオ・ヴァルガスの政府によって再び南十字星国家勲章が設立され、以後はブラジルにおける最も名誉ある勲章とされました。

勲章の制度

南十字星国家勲章は、旧共和国時代（共和国宣言〜1930年まで）には存在せず、軍事勲章のみが存在していました。1932年に復活した南十字星勲章は、共和党によって再設立された栄誉制度における最初の勲章として、ブラジルの国家にとって非常に重要なものとなりました。この勲章は、ブラジルとポルトガルによって共有されていた「キリスト勲章」や「アヴィスの聖ベネディクト勲章」とは異なり、独自の栄誉体系を確立しました。

特筆すべきは、ブラジルの大統領が勲章のグランドマスターとしての役割を果たすことです。現時点では、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領がその地位にあります。

授与基準

南十字星国家勲章は、外国人のみに授与されるという制度が確立されています。この制度は、1932年1月の大統領令によって定められました。ブラジル人は故意に排除されています。過去の共和国において、国家は勲章を共和主義に反するものと見なし、国内の栄誉制度を維持しませんでした。

外交上の儀礼として、外国の高官を称えるための勲章が必要とされましたが、ブラジル政府はそのような制度を整えませんでした。南十字星国家勲章は、外交上のニーズに応じて制定されたものであり、これによりブラジル人に直接的な栄誉を授与する制度は整備されていないままの状態が続いています。

勲章の構成とレベル

南十字星国家勲章は、グランドマスターおよび66のクラスのメンバーから構成されています。勲位には以下のものがあります。

- グランドカラー: 外国の国家元首にのみ授与される最高位。
- グランドクロス: 勲章の帯を装着し、勲章のバッジがその下にぶら下がります。
- グランドオフィサー（ナイトコマンダー）: ネックレットから吊るされた勲章のバッジ。
- コマンダー: 青色リボンについて勲章をぶら下げます。
- オフィサー: 左胸にロゼットの付いたリボンから勲章を装着。
- ナイト: シンプルなリボンからぶら下げられる勲章を装着しています。

著名な受勲者

南十字星国家勲章を受賞した著名な外国人には、ポルトガル国大統領のマルセロ・レベロ・デ・ソウザ氏や、バーレーン国王のハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ氏がいます。また、元日本の首相たち、フランスのエマニュエル・マクロン氏や、シリア国大統領バッシャール・アル＝アサド氏、さらに宇宙飛行士ニール・アームストロング氏など、多くの著名人が受勲しています。

このように、南十字星国家勲章はブラジルの歴史や文化に深い影響を与え、国際的にも重要な役割を果たす勲章として、その価値が認識されています。

もう一度検索