南川秀樹

南川秀樹（みなみかわ ひでき）は、1949年12月27日生まれの日本の官僚です。環境省において、数々の要職を歴任し、環境行政に深く貢献しました。

三重県四日市市出身の南川氏は、名古屋大学経済学部を卒業後、1974年に環境庁（現在の環境省）に入庁しました。環境庁では、大臣官房広報室長、環境事業団総務部次長、大気保全局生活環境室長、水質保全局水質管理課長などを務め、その後、企画調整局環境保健部保健企画課長、長官官房総務課長、環境省大臣官房総務課長、総合環境政策局環境保健部長、廃棄物・リサイクル対策部長と、着実にキャリアを重ねました。

2005年には自然環境局長に就任。在任中には、群馬県、福島県、新潟県などからの要望を受け、「日光国立公園」を「日光尾瀬国立公園」に改称するのではなく、尾瀬地域を分離し「尾瀬国立公園」として独立させるという大胆な構想を打ち出し、注目を集めました。この構想は後に実現し、2007年には尾瀬国立公園が制定されました。この功績は、南川氏の環境保護に対する強い意志を示すものとして高く評価されています。

その後、2006年に地球環境局長、2008年に官房長、2010年には地球環境審議官を歴任しました。これらの役職を通して、地球温暖化対策や環境汚染対策など、地球規模の環境問題にも積極的に取り組みました。

2011年1月には、環境省の事務次官に就任しました。これは環境省のトップとしての重責を担うものであり、南川氏のキャリアの頂点とも言えるでしょう。しかし、その直前には、地元三重県の知事選への出馬を民主党から打診され、意欲を見せていたものの、事務次官への昇格決定により翻意したという経緯もありました。2013年7月に環境事務次官を退任。退官後は、新設された福島中間貯蔵等連絡調整推進本部長に就任し、東日本大震災からの復興にも尽力しました。

官僚としてのキャリアを終えた後も、南川氏は環境問題への貢献を続けています。2014年4月には東京経済大学経済学部の客員教授に就任し、次世代の育成にも力を注いでいます。また、2014年6月には一般財団法人日本環境衛生センターの理事長に、2015年6月には日本廃棄物団体連合会の会長に就任するなど、環境保全に関する様々な団体の要職を歴任しています。さらに、民間企業においても、2017年6月に株式会社ファンケルの監査役、2017年8月には株式会社レノバの取締役に就任し、幅広い分野で活躍しています。

大学時代は陸上競技部に所属し、全日本大学駅伝にも出場していたという一面も持ち合わせています。

2021年4月には、長年の環境行政への貢献が評価され、瑞宝重光章を受章しました。

南川秀樹氏は、官僚として、また、環境問題に取り組む指導者として、日本の環境行政に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。

参考資料：

* 尾瀬保護財団ホームページ：尾瀬の歴史

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