南新宮社

南新宮社の概要

南新宮社（みなみしんぐうしゃ）は、愛知県名古屋市熱田区に位置する神社で、熱田神宮の境内にある摂社の一つです。この神社は、古くから疫病を防ぐ神として庶民に信仰されてきました。主祭神は素盞嗚尊（すさのおのみこと）であり、疫病の神である牛頭天王（ごずてんのう）との結びつきもあります。

祭神について

南新宮社の祭神、素盞嗚尊は、かつては牛頭天王と習合され、疫病を鎮める神として崇められました。この神社の成立に関しては、祇園神社（現・八坂神社）との関わりや、津島神社からの勧請の可能性も取り沙汰されています。宗教的な背景としては、この神社が疫病対策の一翼を担う存在であったことが強調されます。

歴史の背景

南新宮社の創設年については諸説あり、1000年（長保2年）または1023年（治安3年）との記録があります。10世紀末から11世紀初頭、疫病が広がる中で、素盞嗚尊を神として祀る動きがあったと考えられます。さまざまな文献に記載されていることで歴史は証明されていますが、具体的な情景は少なく、断片的な情報しか残っていません。

南新宮社の成立は室町時代以前である可能性が高いとされ、応仁の乱によりこの地域が荒廃し、その後、牛頭天王信仰が復興される形で南新宮社が創建されたと理解されています。熱田社全体の格から見ると、南新宮社は独自の道を歩んできたといえるでしょう。

中世より重要な祭事が続いており、特に「大山車楽祭」や「熱田まつり」は、南新宮社の祭りを基にしたものとされています。古い地域の信仰を色濃く残しつつ、南新宮社は住民にとって重要な存在でした。

社構と建築

南新宮社は、熱田神宮の南東に位置し、現在もある構造を持っています。社地は275坪（約909平方メートル）に及び、八子社や曽志茂利社と隣接しています。社殿の形状は、切妻屋根の平入流造で、建物の特徴としては舟肘木や連三斗の庇が見受けられます。

もともとは門外の摂社であり、時代の流れと共に境内位置が変わる中でながらも、熱田神宮の一部としての役割は継承されています。過去の書籍や地図からその存在感は維持されており、特に豊臣秀吉による造営も行われた歴史があります。

祭事の意義

毎年旧暦6月5日には、南新宮社祭が行われ、疫病除けの特別な神事が執り行われます。この祭りは、古くからの地域の信仰を受け継いでいます。

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