南日島

南日島の概要

南日島（なんにちとう）は、台湾海峡に位置する中国沿岸の小さな島で、行政区画としては福建省莆田市秀嶼区に属しています。この島は面積53平方キロメートル、人口は約65,000人を有し、福建省では3番目に大きな島です。周囲には大小約100の島嶼が広がっており、その中でも「十八列島」として知られる陸地面積が0.1平方キロメートル以上の18島が存在します。

観光と経済

近年、南日島は観光業で賑わいを見せ、2023年には78.3万人の観光客が訪れました。また、この島は漁業が非常に盛んなことで知られており、特に海水養殖業が発展しています。2018年時点での海水養殖生産量は17.9万トン、総生産額は32億5400万元に達しました。アワビ、コンブ、海苔などが主な養殖品で、特に南日鮑は地域の特産品としての地位を確立しており、中国地理標示産品にも認定されています。

歴史と文化

南日島の歴史は古く、1987年に発見された青銅器時代の遺跡は約3000年前から人類が居住していたことを示しています。島は古くは南匿山、または鮑魚島と呼ばれていました。明代には、倭寇の侵入に備えて要塞が築かれ、その名残として「九龍寨址」や「薛剛寨」という遺構が残っています。清代には南日鎮内に「浮葉村」という最小の行政村が形成され、閩南語や独特の衣装を用いた文化が今に受け継がれています。

1952年には、南日島戦役が発生し、中国人民解放軍と中華民国陸軍が交戦しました。この戦闘は中華民国側による島の占領で終わったものの、最終的には中華人民共和国の支配下となりました。その後、島の住民は社会主義新農村の建設に伴い、新たに開発された村へ移住させられました。

経済の発展

1970年代まで南日島は貧しい漁村でしたが、改革開放後にはアワビ養殖の成功などにより経済が大きく改善しました。2005年には風力発電システムが導入され、2500万元の売上を生むに至ります。また、2008年には中国海洋石油総会社と台湾中油との間で南日島周辺の石油資源の共同開発が決まり、2015年には風力発電所が新たに建設されました。観光客数は2021年には初めて50万人を超えるなど、観光業も発展しています。

交通事情

南日島には、莆田市の石城埠頭から40分ほどでアクセス可能なフェリーが運行されています。南日島への交通手段は「石南フェリー」が主要で、平時にはカーフェリー3隻、フェリー2隻が運航されており、繁忙期にはさらにカーフェリーが増便され24時間体制で運行されます。これにより、観光客や地元住民の移動が便利になっています。

南日島はその独自の文化や豊かな自然、歴史的なバックグラウンドを持ち、訪れる人々に新たな発見と体験を提供する魅力的な場所です。

もう一度検索