南極大空戦

南極大空戦とは

「南極大空戦」（なんきょくだいくうせん）は、人気SFテレビドラマシリーズ『スターゲイト SG-1』の物語世界に登場する架空の軍事衝突です。特に、シリーズ第7シーズンの最終エピソードで描かれたこの戦いは、ゴアウルドと呼ばれるエイリアン種族の中でも最も危険視されていたアヌビスが地球へ大規模な侵攻を試みた際、地球防衛組織SGC（スターゲイト・コマンド）を中心とする地球勢力が、南極大陸を舞台に決死の迎撃を行った一大イベントとして位置づけられています。

戦闘の背景

この戦闘に至る最大の要因は、強大な力を持つゴアウルドであるアヌビスが完全復活を遂げ、地球に対して明確な敵意を示したことにあります。彼が地球の進んだ技術力や潜在的な脅威を危険視し始めた頃、ジャファ反乱軍の指導者であるマスター・ブレイタクから、アヌビスによる差し迫った攻撃の警告がSGCにもたらされます。当時の地球には、ゴアウルドの圧倒的な宇宙戦力に対抗できる有効な手段が極めて限られていました。唯一の希望は、かつて偶然にも高度な古代種族エンシェントの膨大な知識を脳内に取り込んだ経験を持つジャック・オニール大佐でした。

究極兵器の探索とアヌビスの襲来

オニール大佐の脳に残された断片的な記憶から、エンシェントがかつて使用していた強力な兵器が銀河のどこかに存在するという可能性が浮上します。SG-1チームはマスター・ブレイタクの協力を得て、ゴアウルドの貨物船を用いて宇宙へ飛び立ち、究極兵器の探索を開始しました。惑星プラクラルッシュ・タウナスで発見されたエンシェントの古代都市にて、彼らは兵器を稼働させるための重要なエネルギー源であるZPM（零点モジュール）を入手するとともに、その究極兵器が地球の南極大陸に眠っているという決定的な情報を得ます。

しかし、時を同じくして、アヌビスの強大な宇宙艦隊が地球近傍に出現。その事実を知るのはスターゲイトを管理するアメリカ合衆国のみであり、大統領は保有する軍事力を展開して迎撃を試みます。しかし、空母ニミッツを中心とする第11空母航空団や駆逐艦スプルアンスなどがアヌビス艦隊の攻撃を受け、壊滅的な被害を被ります。この出来事により、地球の現有技術ではゴアウルドの宇宙戦力にいかに歯が立たないかが痛感させられました。絶望的な状況の中、大統領の元には、SG-1が南極へと向かっているという情報が届きます。

南極での激闘

SG-1を乗せたゴアウルドの貨物船が南極に到着すると、彼らは直ちに兵器が隠されている場所の掘削作業を開始します。アヌビスは地球側が兵器を起動させようとしていることを察知し、その破壊を目的に主力部隊である多数のアルケシュ（中型宇宙艇）とデスグライダー（小型戦闘機）を南極へ派遣します。アヌビス部隊が貨物船に迫る中、地球防衛の最終ラインとして、ジョージ・ハモンド少将の指揮のもと、地球初の恒星間宇宙艦であるUSAFプロメテウスと、地球独自開発の宇宙戦闘機F-302部隊が出動し、南極上空で激しい空中戦が勃発します。プロメテウスは主にアルケシュを、F-302は無数のデスグライダーを標的とし、SG-1の作業を続ける貨物船を必死に援護します。

戦闘は長時間に及び、地球側は次第に疲弊していきます。F-302は搭載ミサイルや弾薬を使い果たし、プロメテウスも度重なる攻撃によりシールド出力が低下し、船体にも深刻な損傷を受け始めます。追い詰められる地球側を尻目に、SG-1の貨物船はついに氷の掘削を完了。マスター・ブレイタクは貨物船を古代兵器の施設へと移動させます。アヌビスの旗艦は、最大の脅威となったプロメテウスに対し、宇宙空間から猛烈な集中砲火を浴びせます。状況は絶望的となり、ジョージ・ハモンド少将は旗艦への特攻という非情な決断を下します。この激戦の中で、後にSG-1のリーダーとなるキャメロン・ミッチェル大尉（当時の階級は中佐）の搭乗するF-302も撃墜されるなど、地球側は多大な犠牲を払いました。

兵器の起動とアヌビス艦隊の壊滅

危機一髪で貨物船から脱出し、エンシェントの地下施設に到達したSG-1の前に、アヌビスの遺伝子操作された精鋭兵士であるスーパーソルジャー部隊が転送リングで現れ、激しい銃撃戦が展開されます。しかし、その混乱の中、エンシェントの知識を宿すオニール大佐は、施設内に設置されていたエンシェントの技術を制御するためのコントロールチェアーに座ることに成功します。オニール大佐の思考と古代の知識がリンクした瞬間、施設に備えられていた無数のドローンと呼ばれる自律型兵器が一斉に起動します。起動したドローンは瞬く間に南極上空のデスグライダーやアルケシュを殲滅しました。

そして、大量のドローンは宇宙空間へと進出し、アヌビスの巨大な宇宙艦隊を目指します。アヌビス旗艦への特攻を敢行しようとしていたプロメテウスは、ドローンによる圧倒的な攻撃によってアヌビス艦隊が瞬く間に壊滅したことで、間一髪で危機を脱しました。このエンシェントの古代兵器による絶大な力の行使により、アヌビスの地球侵攻は完全に阻止され、人類はまさに絶体絶命の危機を乗り越えることができました。この南極大空戦は、地球が高度な宇宙文明に対抗するための技術を獲得し、銀河社会において自らの地位を確立していく上で、極めて重要な転換点となったのです。

南極大空戦