南江治郎

南江治郎: 日本の詩人と人形劇の草分け

南江治郎（なんえ じろう、1902年4月3日 - 1982年5月26日）は、京都府亀岡市に生まれた詩人であり、人形劇の研究者として知られています。彼は大正から昭和にかけて活動し、特に昭和期の日本文化に大きな影響を与えました。彼の活動は詩作のみならず、テレビ・ラジオ放送など多岐にわたり、彼の名前は日本の人形劇界でも広く知られていました。

略歴と初期の活動

南江は早稲田大学で坪内逍遙や小山内薫の指導を受けましたが、学業を中退しました。1921年に初めての詩集『異端者の恋』を発表し、1922年には詩誌「新詩潮」を立ち上げました。その後、南江二郎名義で詩活動を続ける傍ら、日本で初の現代人形劇専門誌「マリオネット」や「人形芝居」を立ち上げ、編集・発行も行いました。また、彼は故郷の亀岡市の中学校や高校の校歌の作詞も手掛けています。

1931年には人形芝居展を開催し、ジャワの人形コレクションを出品。さらに、同じ年に南江二郎、小松栄、平井房人、村井武生の4名で宝塚人形劇場を創立し、白井鉄造による「ジャックと豆の木」の上演を行い、宝塚歌劇生徒や音楽団の助っ人を得て、大きな成功を収めました。

NHKでの活動

南江は1934年にNHKに入社し、その後企画部長、編成局長、専務理事などの重要なポジションを歴任し、1953年には顧問として活動しました。彼はその期間において、日本の放送文化の発展に寄与し、多くのプログラムやシリーズを手がけました。

学術的貢献

彼の著作には、1928年の論文集『人形劇の研究』や1933年の『世界偶人劇史』があります。これらは、国粋主義が強まった時代においても客観的な視点を持ち続け、貴重な資料を提供したとして評価されています。戦後はユネスコ委員として欧米に留学し、広い視野を持った研究を続けました。

代表作として挙げられる『世界の人形劇』（1968年）やその他の出版物は、彼の研究の成果を集大成した重要な作品です。

彼の遺産

南江治郎の詩集の一部には、「南枝の花」（1927年）や「壺」（1958年）などがあり、これらは彼の文学的な側面を強く表現しています。評論『放送文藝の研究』（1948年）や「レミード・グウルモンの研究」も、彼の幅広い関心を示しています。彼の名は、日本の文化人として忘れられることのない存在であり、特に人形劇や詩に対する貢献は今なお評価されています。彼の死後も、その研究や作品は新しい世代によって受け継がれ、尊重され続けています。

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