南河総督

南河総督について

南河総督（なんがそうとく）は、清代に清江浦（現在の江蘇省淮安市）に設けられた、河道管理を担う重要な高級官員でした。満洲語では「nanho -i uheri kadalara amban」と表記されます。

江南河道総督

正式名称は江南河道総督といい、従一品または正二品という高い官位にありました。その職務は、江蘇省における河道の管理を統括することでした。

南河総督成立の背景

清の初期には、山東省の済寧に河道総督が置かれていました。1677年、当時の河道総督であった靳輔は、淮安が黄河、淮河、そして大運河が交わる地点であり、治水における要所であると考えました。しかし、済寧からでは不便であったため、淮安城西北の清江浦に出張所を設けたことが、南河総督成立のきっかけとなります。

1729年、雍正帝の時代になると、清江浦に駐屯する江南河道総督（南河総督）と、済寧に駐屯し河南省と山東省を管轄する山東河道総督（東河総督）に正式に分離されました。これにより、それぞれの地域における河道管理がより効率的に行われるようになりました。さらに翌年には、直隷河道総督（北河総督）が設置され、直隷総督が兼任することとなりました。

南河総督は、4道、24庁、24営を管轄し、広範囲にわたる河道管理を担当しました。

著名な南河総督

歴代の南河総督の中には、張鵬翮、徐端、黎世序など、顕著な業績を上げた人物がいます。彼らは、治水事業や河道管理において重要な役割を果たし、地域の安定と発展に貢献しました。

南河総督の終焉

太平天国の乱の最中である1855年、黄河の流路が大きく北へ移動しました。さらに1860年には、清江浦が捻軍の攻撃を受け、南河総督署が焼失するという事態が発生しました。これらの出来事を受け、1861年に南河総督は廃止されることとなりました。

南河総督の廃止は、清朝の河道管理体制における一つの転換点となりました。その後、河道管理は新たな体制へと移行していくことになります。

南河総督は、清代の河道管理において重要な役割を果たした官職であり、その成立から廃止までの歴史は、当時の社会情勢や治水技術の変遷を反映しています。

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