南海コ11・21形客車

南海コ11・21形客車の歴史と特徴

南海コ11・21形客車（なんかいコ11・21がたきゃくしゃ）は、南海電気鉄道が運行したケーブルカーの車両です。この車両は、極楽橋駅から高野山駅までの鉄道路線で使用され、高野山の美しい風景を眺めながら観光客に多く利用されていました。

起源と目的

1964年（昭和39年）、夏季の輸送需要の高まりと、翌年の高野山開創1150年記念大法会に向けて、新しいケーブルカーの導入が決定されました。これにあたり、巻上機や地上の設備の近代化を行い、新たに設計されたのがこのコ11・21形客車でした。
この客車は、山上側がコ11形、山下側がコ21形と名付けられており、2両固定編成を形成しています。編成はコ11 - コ21、およびコ12 - コ22の2組で編成されています。

車両の仕様

こちらの客車は、1両あたり130名の定員を有し、その内訳はコ11形が36名、コ21形が34名に設定されています。4両編成の20000系「こうや号（現・「こうや」）」の乗客数を全て収容できる能力を持っており、大きな輸送力を誇ります。また、この車両が採用した電気式自動扉は、ケーブルカーとしては初めての試みとなりました。

塗装とデザイン

当初、塗装は20000系と同じデザインで作成されていましたが、1983年に30000系と同一のものにマイナーチェンジされています。
さらに、車両の運転中には、日本語に加えて英語やフランス語の自動放送が行われ、世界遺産である高野山の魅力が観光客に届けられます。これにより、訪れる人々に素晴らしい体験を提供しています。

長年の使用とリニューアル

2015年4月現在、南海電気鉄道の鋼索線で運行された車両の中では、コ11・21形客車が約50年の使用年数を誇ります。この間に、単独車両で高野山の周年記念大法会の輸送を二度担当し、2015年にはその記念イベントのため事前に車両のリニューアルが行われました。
2014年3月には、車両内の座席モケットが変更され、高野山の地域性を反映したデザインに生まれ変わりました。新たな座席は、蓮の花をイメージした緑地にピンクの花柄模様が施されています。
また、同年の3月1日からは、車両の先頭部分にワイド画面タイプの液晶ディスプレイが導入され、日本語、英語、フランス語の各言語での案内が可能になりました。このように、伝統的なケーブルカーでありながら、現代的な設備を取り入れた車両として進化してきました。

引退

54年間にわたり運行されてきたコ11・21形客車ですが、設備の更新工事と新造車両の導入に伴い、2018年の11月25日をもって引退しました。 多くの人々に親しまれたこの客車は、南海電気鉄道の歴史の中で重要な役割を果たしてきたのです。
今後は新たな車両がこの路線を担い、高野山を訪れる観光客に価値ある旅を提供し続けることでしょう。

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