極楽橋駅

極楽橋駅：高野山への玄関口

和歌山県伊都郡高野町高野山に位置する極楽橋駅は、南海電気鉄道高野線の終点であり、同時に高野山ケーブルカーの起点となる重要な駅です。橋本駅から443mの標高差を一気に駆け上がり、標高535mという高所にあります。駅番号はNK86です。

歴史と近代化産業遺産

1929年、高野山電気鉄道の延伸により開業しました。当初は神谷駅（現在の紀伊神谷駅）からの終着駅でしたが、1930年には高野山ケーブルカーが開業し、高野山へのアクセス拠点としての役割を担うようになりました。1947年には南海電気鉄道に社名変更、2000年には駅業務を南海ビルサービスに委託するなど、時代の変遷とともに変化を遂げてきました。

2009年には、紀伊清水駅、学文路駅、九度山駅、高野下駅、下古沢駅、上古沢駅、紀伊細川駅、紀伊神谷駅、高野山駅、紀ノ川橋梁、丹生川橋梁、そして高野山ケーブルカーと共に、「近代化産業遺産（高野山参詣関連遺産）」に指定されました。これは、極楽橋駅が、高野山への参詣という歴史的、文化的文脈において重要な役割を果たしてきた証と言えます。

近年では、2017年の台風21号による被害からの復旧や、2020年の駅リニューアルオープンなど、駅施設の維持管理と利便性向上に努めています。リニューアルに伴い、当駅を区間に含む乗車券の途中下車が可能になったことで、利用者の利便性も向上しています。

駅構造と利用状況

高野線ホームは櫛形3面4線、高野山ケーブルカーのホームは頭端式2面1線という構造になっています。高野線とケーブルカーの乗り換えをスムーズに行うための設計で、駅周辺には他に建物はなく、高野山へのアクセス拠点としての機能に特化しています。

券売機はなく、乗車券は改札窓口で購入します。自動改札機は簡易型で、ICカードにも対応していますが、精算やチャージは窓口での対応となります。高野線とケーブルカーの駅舎は不動谷川を挟んで位置し、改札内の連絡橋で結ばれています。特急「こうや」や観光列車「天空」のホームは、列車到着時まで封鎖され、特急券や指定券の提示が求められます。ケーブルカーは高野線列車の発着に合わせて運行され、混雑時には臨時列車が運行されます。2009年には、ケーブルカーホームにスロープと車椅子用自動昇降機が設置され、バリアフリー化も進んでいます。

2019年度の1日平均乗降人員は約2,066人でしたが、これは乗り換え客を含んだ数値です。乗り換え客を除くと、2023年度の1日平均乗降人員は約58人で、南海電気鉄道の駅の中では少ない方です。ほとんどの利用客は高野山ケーブルカーに乗り換えるか、高野山から極楽橋駅へ乗り換える利用客で、当駅で下車する利用客は非常に少ないのが現状です。

駅周辺とアクセス

駅名の由来となった極楽橋は駅の北側にあり、高野山への参道である不動坂に通じています。極楽橋は、2016年に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に追加登録され、歴史的価値の高さが再認識されました。高野山中心部へは、駅から登山道（和歌山県道118号高野橋本線）を通り女人堂を経由するルート、または高野山駅から大門方面へ進むルートの2通りがあります。高野山駅からはバス専用道路と一般道路があり、バス専用道路は歩行者通行不可です。

隣の駅

南海電気鉄道高野線では、九度山駅と紀伊神谷駅が隣接駅です。高野山ケーブルカーでは、高野山駅が隣接駅となります。特急「こうや」と観光列車「天空」は極楽橋駅に発着します。

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