南海サハ4801形客車

南海サハ4801形客車の概要と歴史

南海サハ4801形客車は、かつて南海電気鉄道に在籍していた特異なデザインの客車です。この車両は、1952年に帝國車輛工業によって製造され、南海鉄道の南紀直通列車に使用されました。1940年まで運行されていた南紀直通列車は、1951年に復活し、国鉄から南海への乗り入れが行われていました。

サハ4801形の設計と特徴

この客車は、国鉄スハ43形をベースにしているものの、独自のデザインが施されています。屋根上の通風器はガーランド式で、車体色は当時の南海電車と同じ緑色になっています。デッキ上部には「南海」と明記された表示灯も設けられ、視認性を高めています。また、台車の中心距離はスハ43形より500mm短く、編成最後尾での運行を考慮して、緩急車のように妻面に標識灯が装備されています。

サハ4801形の車内は、当初は白熱灯を使用していましたが、後に蛍光灯照明に改装されました。また、内装には淡黄色のアルミデコラ化粧板が使用され、快適さを追求したデザインになっています。座席は向かい合わせの固定クロスシートで、ラテックススポンジを用いており、肘掛けの形状も特徴的です。

運用と機能

この客車は、南海線内で200馬力級モーターを搭載するモハ2001形に牽引され、特急列車として運行されました。国鉄線内では、初期には蒸気機関車が牽引していたため、煙が車内に入らないように見張りが設けられていました。運行の基本は、夜行普通列車や土曜日の黒潮号に利用されており、国鉄から借り入れた客車との併結運転も頻繁に行われていました。

鉄道の近代化と役割の変化

1959年、国鉄はキハ55系気動車を投入し、南紀直通の主力が転換される中、サハ4801形も夜行列車専用となりました。しかし、1961年には新宮発難波行の夜行普通列車が消滅し、昼行の「南紀2号」にシフトすることとなります。1972年にはダイヤ改正が行われ、南紀線への客車の乗り入れが廃止されることとなります。

最終運行日は1972年3月13日で、これは南海鉄道の歴史にとって重要な日となりました。この改正により、サハ4801形は役目を終え、廃車解体されることになりました。南海サハ4801形客車は、南海電気鉄道の歴史に刻まれた貴重な存在であり、そのデザインや運行は今なお多くの鉄道ファンの心に残っています。

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