南海電鉄千代田工場

南海電鉄千代田工場と小原田検車区

南海電鉄千代田工場は、大阪府河内長野市にある南海電鉄の主要な車両工場です。南海高野線の千代田駅と河内長野駅の間に位置しており、工場の南側には小原田検車区が隣接しています。南海高野線の線路を挟むかたちで、工場は西側に、小原田検車区は東側に設けられています。

工場の概要と歴史

千代田工場は、南海電鉄の鋼索線車両を除くその他の全車両に対して全般検査を行っています。また、一部の業務は子会社である南海車両工業が担当しています。南海電鉄の車両工場の歴史は1896年に遡り、最初は難波工場として設立されました。その後、1903年には天下茶屋工場に移転し、約80年間にわたって運用されていました。しかし、南海本線の大阪市内での立体化工事や周辺の整備事業に伴い、1980年11月に千代田への移転が決定されました。そして1982年3月1日に新たに千代田工場として開設され、以来現在に至るまで運用されています。

工場では車両検査の他にも改造工事や廃車された車両の解体作業が行われています。特急「サザン」に使用される10000系の先頭車両を中間車への改造を行ったり、2200系の観光列車「天空」への改造作業も手がけています。また、構内にはアント工業製の軌陸両用車両牽引車も配置されており、車両の移動や作業の効率を図っています。

小原田検車区の設立と役割

千代田検車支区は、元々南海高野線の車両基地として1966年2月28日に設立されました。もともとは堺東検車区が役割を果たしていましたが、昭和後期の宅地開発により利用者が急増し、車両も増加。これに対応するために千代田検車区が新しく設けられました。開設当初、収容能力は75両でしたが、1975年までの拡張工事によって189両が収容できる南海電鉄最大の検車区に成長します。

その後、1996年には小原田検車区が開設され、高野線所属車両がここの基地に移籍。2005年9月には小原田との統合が行われ、千代田検車支区として再編成されました。現在でも大型車両は多くが当支区に保管されています。

特別な催し

毎年10月から11月にかけて開催される「南海電車まつり」では、工場見学や鉄道部品の即売会、車掌体験、鉄道グッズ販売、模型展示など、多彩なイベントが行われます。この特別な日は土休日に設定され、当日には難波駅から工場へ直通の臨時列車が運行されるため、遠方からの訪問者にも配慮されています。

また、会場へは千代田駅から徒歩または河内長野駅からの無料送迎バスが利用可能ですが、2022年は送迎バスが運行されませんでした。新型コロナウイルスの影響で、2020年と2021年の開催は中止となったものの、鉄道の日にちなむこのイベントは、多くの鉄道ファンに親しまれています。

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