南瓜 (草間彌生の作品)

草間彌生による直島のシンボル『南瓜』

香川県香川郡直島町、ベネッセアートサイト直島に展示されている『南瓜』は、日本を代表する美術家、草間彌生氏が1994年に制作した野外美術作品です。この作品は、まだら模様の黄色いカボチャをモチーフとした大型の立体彫刻であり、直島の象徴として広く知られています。

作品概要

『南瓜』は、1994年に開催された「Open Air '94 'Out of Bounds' —海景の中の現代美術展—」で初めて公開されました。草間彌生氏の代表作の一つとして、また直島のシンボルとして、多くの人々を魅了しています。作品は、海に突き出た桟橋の上に常設展示されており、訪れる人々に特別な風景を提供しています。

素材には繊維強化プラスチックなどが用いられ、高さ2メートル、幅2.5メートルという存在感のあるサイズです。全体が黄色で彩られ、黒いドット模様が特徴的なまだら模様となっています。草間氏は幼少期から幻覚や幻聴に苦しんでおり、これらの経験が彼女の芸術作品に大きな影響を与えています。水玉模様は、彼女の作品を特徴づける重要な要素の一つです。

直島の『南瓜』は、草間氏が手がけたカボチャをモチーフにした作品の中でも初の屋外彫刻であり、1994年は彼女が野外彫刻の制作を始めた年でもあります。

台風による破損と再制作

2021年8月9日、台風9号の影響により高波で『南瓜』が海に流され、3つに割れるという事故が発生しました。当時、香川県では強風が吹き荒れ、高松市では最大瞬間風速23.3m/sを記録しました。破損した破片は、ベネッセハウス ミュージアムのスタッフによって回収され、草間氏の元に引き渡されました。その後、草間氏の監修のもと再制作が行われ、2022年10月4日に再び展示されることとなりました。

再制作された『南瓜』は、以前の作品よりも厚みを増し、強度を高めています。また、台風などの際に迅速に避難できるよう、ヘタの部分にフックを取り付けるなどの改良が加えられています。

その他の関連作品

草間彌生氏によるカボチャをモチーフとした作品は数多く存在します。直島には、この黄色の『南瓜』の他に、宮浦港に設置された『赤かぼちゃ』があります。こちらは、全体が赤色で彩られており、内部を見学できるという特徴があります。また、福岡市美術館にも直島の『南瓜』と同じ作品が展示されています。

まとめ

直島の『南瓜』は、草間彌生氏の独特な世界観を表現した象徴的な作品です。台風による破損という困難を乗り越え、再制作された作品は、その美しさとともに、自然災害に対する人間の知恵と創造力を示しています。訪れる人々は、この作品を通して草間氏の芸術と、直島の美しい風景を同時に楽しむことができるでしょう。

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