南谷寺

南谷寺（なんこくじ）

南谷寺は東京都文京区本駒込に立地する天台宗の寺院で、山号は大聖山、院号は東朝院とされています。この寺院は、その不動明王像が江戸五色不動の一つとして知られ、「目赤不動」としても親しまれています。

歴史

南谷寺の起源は元和2年（1616年）にまで遡ります。この年、比叡山の南谷に住んでいた万行律師が寺院を開きました。万行律師は不動明王を崇拝しており、ある晩、伊賀国（現在の三重県）の赤目山へ行くようにと夢のお告げを受けました。夢に従い赤目山で祈りを捧げると、天から黄金の不動明王像が授けられたと伝えられています。

その後、表向きに不動明王像を安置するために江戸・下駒込地域（現在の本駒込3丁目付近、東京都立駒込病院の近く）に庵を設けることとなりました。この不動明王に対する信仰は多くの人々に広がり、不動堂の前にある坂道は「不動坂」と名付けられ、現在は「動坂」として知られています。

寛永5年（1628年）、三代将軍の徳川家光が鷹狩の際に訪れたとき、彼は「赤目不動」と呼ばれていた像を目黒不動や目白不動にちなんで「目赤不動」と改名するよう指示しました。この際、現在の場所を与えられ、「大聖山東朝院」と称されるようになりました。天明8年（1788年）には、上野の寛永寺の直末寺として「南谷寺」の名も与えられました。

残念ながら、1945年の第二次世界大戦において、寺院の本堂や不動堂は焼失しましたが、本尊は難を逃れ、その後1960年代に入ってから本堂（1958年に再建）や不動堂（1983年に再建）が復興されました。

南谷寺の本尊には阿弥陀如来が本堂に、不動堂には目赤不動明王が安置されています。

旧目赤不動跡地

動坂（堂坂とも言われる）には、かつて赤目不動が安置されていた場所に「目赤不動跡」と名付けられた不動堂がありました。この不動堂も戦時中に焼失し、戦後に再建されました。また、この場所は中井英夫の小説『虚無への供物』の舞台となり、目赤不動の再建予定地として描かれています。しかし、1983年に南谷寺の不動堂が再建されると、その旧跡地は五色不動のランドマークとしての役割を終え、1985年に区の土地整理の際に取り壊されました。その後、この土地は駐車場に転用されました。

なお、目赤不動の旧地には日限地蔵が建立されていましたが、取り壊しの際に近くの徳源院に移されました。

アクセス

南谷寺へのアクセスは非常に便利で、最寄りの地下鉄南北線の本駒込駅から徒歩約2分で到着します。拝観は日中のみ無料で行われており、周辺には他にも多くの寺院が点在しています。南谷寺は、歴史ある文化と信仰の地として、多くの参詣者に親しまれています。

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