南貞助

南貞助（みなみ ていすけ）

南貞助は、1847年（弘化4年）に生まれ、1915年（大正4年）7月14日に68歳で亡くなった、幕末から明治にかけて活躍した人物です。長州藩士の南杢之助と、高杉小忠太の妹マサとの間に生まれ、高杉晋作とは従兄弟であり、義理の兄弟でもありました。幼名は百合三郎、後に貞輔とも名乗りました。

高杉家との関わり

高杉家では、晋作に跡継ぎが一人しかいないことを懸念し、1862年（文久2年）に小忠太の甥である貞助を養子に迎え、高杉百合三郎と名乗らせました。しかし、1865年（元治元年）に晋作が功山寺で挙兵した際、貞助も谷松助と名前を変えて参加したため、晋作と共に高杉家から除籍されてしまいます。

留学と国際結婚

1865年（慶応元年）から1867年（慶応3年）にかけて、貞助は晋作の身代わりとして長州藩の費用でイギリスに秘密留学をします。帰国後は新政府で外国御用掛を務め、1871年（明治4年）には東伏見宮嘉彰親王の英国留学に随行しました。1872年（明治5年）には、イギリス人女性のエリザ・ピットマンとイギリスで結婚。この結婚は、1873年（明治6年）6月3日に太政官によって許可されており、日本における法律上の最初の国際結婚とする説があります。イギリス滞在中の1873年には、ジェームス・サマーズの『大西新聞』の発行に協力しました。

帰国後の活躍と晩年

1873年（明治6年）に帰国後、貞助は在香港領事や観光事業など様々な分野で活躍しました。しかし、1883年（明治16年）にエリザ・ピットマンと離婚し、同年、伊沢せんと再婚しました。1915年（大正4年）に68歳で亡くなり、号は晋作の東行にちなんで北行としました。

人物

南貞助は、幕末の動乱期から明治維新という激動の時代を、国際的な視野を持ちながら生き抜いた人物です。高杉晋作の親族というだけでなく、自らも留学や国際結婚を経験し、その後の日本社会に貢献しました。彼の人生は、日本の近代化における国際的な交流の重要性を示唆していると言えるでしょう。

参考資料

小山騰「明治前期国際結婚の研究 : 国籍事項を中心に」『近代日本研究』第11巻、慶應義塾福澤研究センター、1994年、121-173頁。
小山騰『国際結婚第一号 : 明治人たちの雑婚事始』講談社、1995年。
外務省: 外交史料 Q&A 明治期.
一坂太郎, 吉岡一生『高杉晋作を歩く』（改訂版）山と溪谷社、2006年。

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