文久

文久（ぶんきゅう）

文久（ぶんきゅう）は1861年から1864年にかけて使用された日本の元号で、万延の後、元治の前の期間を示します。この時期の天皇は孝明天皇、江戸幕府の将軍は徳川家茂でした。文久は、大化以降で225番目、241個目の元号に当たります。

改元の背景

文久への改元は、万延2年の2月19日（グレゴリオ暦1861年3月29日）に行われました。この改元は、讖緯説に基づく辛酉革命の年に位置付けられています。文久4年の2月20日（1864年3月27日）には元治に改元されました。興味深いことに、万延の際に改元候補として選ばれた二つの元号のうち、『文久』が最終的に外された経緯もあります。

文久年間の重要な出来事

文久元年から元年までには、多くの重要な出来事が発生しました。まず、1861年の2月にはロシア軍艦ポサドニック号による対馬占領事件が起こり、これが日本の外交政策に影響を及ぼします。同年5月には、江戸で東禅寺事件という混乱が発生し、12月には文久遣欧使節が派遣されました。

1862年には、1月に坂下門外の変が発生し、幕府老中の安藤信正が襲撃されるという事件が発生しました。この年の2月には、皇女和宮が徳川家茂と結婚し、同じ月に大野佐吉が浅草瓦町で鮒佐を創業し、現在の佃煮の形が確立されました。

また、4月には薩摩藩の島津久光が上京し、徳川慶喜が将軍後見職に就任する文久の改革が行われました。5月には、ロンドン覚書が締結され、8月には生麦事件が発生しました。

文久3年にはさらに動乱が続き、3月に徳川家茂が上洛した際、江戸の演劇界では《青砥稿花紅彩画》という歌舞伎作品が初演され、河竹黙阿弥の代表作となります。5月には長州藩が下関で外国艦隊に砲撃を行い、姉小路公知の暗殺が発生しました。また、7月には薩英戦争が起き、8月には京都で八月十八日の政変が発生しました。

人物の誕生と死

文久の時代には多くの著名人が誕生しました。元年には海軍大将であり、第21代内閣総理大臣の加藤友三郎や探検家の白瀬矗が生まれました。2年には国際連盟事務次長の新渡戸稲造、小説家で陸軍軍医の森鷗外、植物学者の牧野富太郎が生まれました。さらに3年には徳川家達が誕生しました。

この時代にはまた、多くの著名な人物が亡くなっています。元年には29歳で若くして没したヘンリー・ヒュースケンや77歳の犬塚正陽がいます。2年には吉田東洋が暗殺され、46歳で亡くなります。本因坊秀策は病により34歳で亡くなりました。3年には34歳で暗殺された清河八郎、25歳で暗殺された姉小路公知がいます。

終わりに

文久の期間は、政治的・文化的に非常に刺激的な時代であったと言えます。この時代の変化は、後の明治維新へとつながっていく大きな流れの一部を形成しました。

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