南部川 (和歌山県)

南部川の概要

南部川は、和歌山県日高郡みなべ町を流れる、全長約〇〇kmの二級河川です。虎ヶ峰（標高789.5m）に源を発し、みなべ町の中央部を西へ流れ、途中で南西に方向を変え、井の川や玉川などの支流を合わせ、南部湾へと注ぎ込み、最終的には紀伊水道へと流れ込みます。

地理的特徴

南部川の流域は、土地の約90％が山林で占められており、農地はわずか2％に過ぎません。しかし、周辺の梅林から収穫される梅の加工工場が、下流域のみなべ市街に多数集まっており、沿線には芳醇な梅の香りが漂う独特の景観を作り出しています。また、日高川流域と並ぶ紀州備長炭の産地としても知られ、特に上流部の高城や清川（紀州備長炭振興館所在地）は一大産地となっています。

南部川沿いには、国道424号線が並行するように敷設されており、上流部でも道路の拡張やトンネルの開削が進められています。中流部には、島ノ瀬ダムがあり、南紀用水として農業用水に利用されています。このダムはウルグアイ・ラウンドの一環として開発されたもので、流域の水量が必ずしも豊富ではないため、過去には農地のひび割れなどの干害が頻発したことが背景にあります。

支流としては、軽井川、木ノ川、東神野川、高野川、市井川、辺川、玉川、奥谷川、瓜谷川、井ノ谷川、桜川などがあり、最下流の南部湾沿いには古川があります。

水質と環境

西本庄より上流部は、豊かな植生と生物多様性を誇り、清流として知られています。しかし、下流部では、梅加工場の廃液や住宅地からの排水などにより、水質が悪化し、環境基準を超える時期もありました。この問題を受けて、上下水道の整備などの浄化事業が行われ、本流の水質は環境基準A類型に適合するまで回復しました。一方で、支流の古川は生活用水や農業用水としての利用にとどまっています。近年では、本流の水質改善に伴い、鮎の稚魚放流も行われるようになり、生態系の回復にも力が入れられています。

歴史

歴史を遡ると、江戸時代には熊野詣が盛んに行われており、南部川の渡し船は多くの人々で賑わっていました。当時、南部川は熊野詣の重要な交通路であり、多くの旅人が船を利用して川を渡ったとされています。

流域の自治体と交通

南部川の流域は、和歌山県日高郡みなべ町に位置しています。川沿いには国道424号線が通っており、地域住民の生活を支える重要な交通路となっています。

関連事項

南部川に関連する事項として、以下のものが挙げられます。

南部町 ([[和歌山県)]]: かつて存在した自治体で、現在の南部川流域を含む地域。
南部川村: かつて存在した自治体で、現在の南部川流域を含む地域。
ウメ: 南部川流域の名産品であり、地域経済を支える重要な産業。
備長炭: 南部川上流域で生産される高品質な木炭。

これらの関連事項からも、南部川が地域の歴史、文化、産業に深く関わっていることがわかります。

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