南高野貝塚

南高野貝塚：縄文時代の息吹を伝える史跡

茨城県日立市南高野町に位置する南高野貝塚は、縄文時代中期から晩期にかけての生活の痕跡をとどめる貝塚です。県内北部において最大規模を誇り、当時の人々の暮らしぶりや自然環境を知る上で重要な役割を果たしています。

発掘調査と出土品

過去2回にわたる発掘調査（1952年、1957年）によって、南高野貝塚からは多種多様な遺物が出土しました。土器は、阿玉台式、加曽利式、称名寺式、堀之内式など、各時期を代表するものが発見されています。石器としては、斧や皿といった生活用具が見つかっています。

貝類は、ヤマトシジミが主体ですが、他にも様々な種類の貝が含まれています。また、カツオ、サメ、スズキなどの魚類、イノシシやシカなどの哺乳類の骨も出土しており、当時の食生活を知る手がかりとなっています。これらの出土品は、日立市郷土博物館などに収蔵・展示されています。

史跡公園としての整備

南高野貝塚は、久慈川の支流である茂宮川沿いの台地に位置しています。1979年（昭和54年）3月8日には、茨城県指定文化財史跡第三十五号に指定され、その価値が認められました。現在は、日立市教育委員会が管理者となり、南高野貝塚、上の台古墳群（円墳3基）、南高野横穴墓群（横穴墓34基）を合わせたエリアが、南高野史跡公園（通称：南高野貝塚公園、面積約3ha）として整備されています。

公園内では、貝塚の様子を見学できるだけでなく、縄文時代の生活を体験できる施設や展示なども設けられており、歴史学習の場として活用されています。

周辺の史跡群

南高野史跡公園内には、貝塚のほかに、上の台古墳群や南高野横穴墓群も存在します。これらの史跡群は、貝塚と合わせて、この地域における古代の文化や社会構造を理解する上で重要な情報を提供してくれます。

注意点

岐阜県揖斐郡池田町には「南高野古墳」という名称の古墳がありますが、これは南高野貝塚とは別のものです。

まとめ

南高野貝塚は、縄文時代の貴重な遺産であり、史跡公園として整備されたことで、一般の人々が気軽に触れることができるようになりました。この場所を訪れることで、太古の昔に生きた人々の生活や文化に思いを馳せ、歴史の奥深さを感じることができるでしょう。

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