博多ブルース

「博多ブルース」は、日本の歌謡界で独特の存在感を放った歌手、西田佐知子によって1964年11月に発売されたシングルレコードです。この作品は、当時のポリドール・レコード（現在のユニバーサルミュージック）から、品番SDR-1037としてリリースされました。

このシングル盤は、福岡県の玄関口である博多、そして古都・京都という、日本の西部に位置する二つの都市名を冠した楽曲を収めており、当時の流行であった「ご当地ソング」の流れを汲む楽曲と言えます。特に、西田佐知子自身がその年の1月に発表し、大ヒットを記録した「東京ブルース」の成功を受け、その後に続いて制作された一連の「ブルース」と名の付く楽曲群の中で、重要な位置を占める一枚です。

本シングルに収録された二曲、A面の「博多ブルース」とB面の「京都ブルース」は、いずれも作詞を水木かおる氏が、作曲を藤原秀行氏が担当しています。これは、先行の大ヒット曲「東京ブルース」と同じ作家陣であり、ヒットの方程式を意識した制作背景が伺えます。楽曲の演奏は、ポリドール・オーケストラが手掛けました。

収録曲の詳細を記します。

博多ブルース
作詞: 水木かおる
作曲・編曲: 藤原秀行
A面に収録されたタイトル曲であり、博多の風情や人間模様をブルースのリズムに乗せて描いています。

京都ブルース
作詞: 水木かおる
作曲: 藤原秀行
編曲: 川上義彦
B面に収録されており、歴史ある京都を舞台にした、郷愁や情感を誘う楽曲です。作曲は藤原秀行氏ですが、編曲はA面とは異なり川上義彦氏が担当しています。

ここで一点、注意すべき情報があります。1974年に別の歌手である藤圭子が発表した同名タイトルのシングル「京都ブルース」は、この西田佐知子版の楽曲をカバーしたものではなく、全く別のメロディーと歌詞を持つ楽曲です。同名異曲として、混同しないよう留意が必要です。

「博多ブルース」は、西田佐知子のキャリアにおける代表曲の一つとして、発売から長い年月を経てもその魅力が失われることなく、多くのファンに聴き継がれています。そのため、後年にリリースされた彼女のベストアルバムや全曲集に数多く収録されています。主な収録作品としては、以下のようなアルバムが挙げられます。

西田佐知子全曲集（1999年、品番：POCH-1842）
GOLDEN☆BEST 西田佐知子（2003年、品番：UICZ-6041）
西田佐知子 ベスト10（2005年、品番：UPCY-9016）
西田佐知子歌謡大全集（2007年、品番：UPCY-9096/100）
西田佐知子 エッセンシャル・ベスト（2007年、品番：UPCY-9137）
* 初めての街で 〜西田佐知子ベストセレクション〜（2009年、品番：UPCY-6543）

これらの再収録を通じて、往年のファンはもちろんのこと、新たな世代の音楽愛好家にも西田佐知子の歌声と「博多ブルース」の持つ独特の世界観が届けられ続けています。このシングルは、「東京ブルース」で確立された西田佐知子のブルース歌謡路線を確固たるものとし、ご当地ソングとしても、また優れた作家陣による作品としても、日本の歌謡史において記憶されるべき一枚と言えるでしょう。

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