GOLDEN☆BEST 西田佐知子

GOLDEN☆BEST 西田佐知子

『GOLDEN☆BEST 西田佐知子』は、2003年11月26日にユニバーサルミュージックから発売された、歌手・西田佐知子のベストアルバムである。複数のレコード会社が共同で手がけるベストアルバム企画「ゴールデン☆ベスト」シリーズの一作としてリリースされた本作は、1960年代に一世を風靡した実力派女性歌手、西田佐知子の楽曲を集めた廉価版ベストアルバムとして、多くの音楽ファンに届けられた（規格品番：UICZ-6041）。

本作の大きな特徴の一つは、デジタルリマスタリングが施されている点にある。これにより、過去にリリースされたベスト盤と比較しても、よりクリアで鮮やかな音質で、西田佐知子の情感あふれる歌声を堪能することができる。

収録楽曲のラインナップは非常に充実しており、西田佐知子のキャリアを語る上で欠かせない代表曲が多数収められている。特に注目すべきは、彼女が出場した「NHK紅白歌合戦」において披露された全9回の歌唱楽曲がすべて網羅されている点である。これにより、テレビを通じて多くの視聴者に感動を与えた名パフォーマンスの音源を、一枚のアルバムで振り返ることが可能となっている。

収録曲には、西田佐知子の名を不動のものとした初期の代表作「アカシアの雨がやむとき」（第13回・第20回紅白歌唱曲）、ラテンのリズムを取り入れたカバー曲として知られ、後に多くのアーティストに歌い継がれるスタンダードとなった「コーヒールンバ」（第12回紅白歌唱曲）、そして彼女のブルース歌謡における存在感を決定づけた「エリカの花散るとき」（第14回紅白歌唱曲）、「東京ブルース」（第15回紅白歌唱曲）などが含まれている。これらの楽曲は、作詞家の水木かおると作曲・編曲家の藤原秀行による強力なタッグによって生み出され、当時の日本の音楽シーンに大きな足跡を残した。

また、鈴木道明が作詞・作曲を手がけ、川上義彦が編曲した「赤坂の夜は更けて」（第16回紅白歌唱曲）とそのB面曲であった「女の意地」も収録されている。「女の意地」は、オリジナル発売から数年を経て1970年から1971年にかけてリバイバルヒットを記録し、再び大きな注目を集めた楽曲である（第21回紅白歌唱曲）。

さらに、作曲家・筒美京平がキャリア初期に手がけた隠れた名曲「くれないホテル」も本作には収められている。この楽曲は、2006年に発売された筒美京平の膨大な作品群から厳選されたコンピレーションBOX『THE HIT MAKER -筒美京平の世界-』にも収録されており、音楽界における筒美京平の功績を振り返る上でも重要な一曲として位置づけられている。

その他、「信じていたい」（第17回紅白歌唱曲）、「涙のかわくまで」（第18回紅白歌唱曲）、「あの人に逢ったら」（第19回紅白歌唱曲）といった宮川泰が作曲・編曲を手がけた楽曲群や、「神戸で死ねたら」など、時代を超えて愛される名曲の数々がセレクトされている。

付属の歌詞ブックレットには、2ページにわたって西田佐知子の芸歴を振り返る詳細なライナーノーツが掲載されており、楽曲を聴きながら彼女の活動の軌跡を辿ることができる。CDジャケットのデザインは、収録されている楽曲のオリジナル・レコード盤のジャケット写真を一覧で並べたものであり、視覚的にも当時の雰囲気を伝える工夫が凝らされている。

『GOLDEN☆BEST 西田佐知子』は、彼女の膨大なディスコグラフィーの中から特に重要な楽曲を厳選し、最新のリマスタリング技術で収録した、入門編としても最適なベストアルバムであり、1960年代の歌謡曲に触れる上で、あるいは西田佐知子の魅力を再発見する上で、非常に価値のある一枚と言えるだろう。

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