博多川

博多川の概要

博多川（はかたがわ）は、福岡県福岡市博多区を流れる重要な河川です。この川は、キャナルシティ博多の近くで那珂川から分かれて流れ出し、博多区の市街地を貫通していきます。須崎橋を過ぎると再び那珂川と合流します。この分流点には、特注のゴム引布製の起伏堰が設置されており、普段は那珂川からの流入を防ぐ役割を果たしています。ところが、那珂川の水位が上がると、博多川の水も影響を受けて流れ出すことになります。

流域

博多川は周辺に多くの名所が点在しており、流域にはキャナルシティ博多や中洲、南新地、須崎町、川端通商店街などが含まれます。また、ホテルオークラ福岡や鏡天満宮、博多リバレインなどもこのエリアに位置しており、観光やビジネスで訪れる人々にとって重要な場所となっています。

歴史的背景

博多川の歴史を遡ると、中洲から天神にかけての地域は中世まで博多湾に面した入り江「冷泉津」であったことがわかります。さらに、現在は御笠川（石堂川）と呼ばれる川は、当時の比恵川と呼ばれていたもので、住吉1丁目付近でこの入り江に流れ込んでいました。しかし、次第に陸化が進んで干潟が形成され、比恵川下流部の流路が今の博多川の原型となりました。

16世紀には比恵川の流路が北側に移設され、直接博多湾に広がる工事が実施されました。この結果、1678年（延宝6年）頃には、入り江を区切る堤防が築かれ、中洲が陸地として誕生しました。この時点で、中洲の西側は那珂川の本流、東側は博多川と定義されるようになりました。以来、博多川は時と共に陸化が進み、川幅が狭まる傾向を見せています。

現代の整備

1991年以降、博多川において「博多川夢回廊整備事業」が実施され、親水環境の整備が進められました。この工事では上流と下流を堰で区切り、両岸に親水歩道が設けられるなど、住民や観光客が気軽に川を楽しむことができる環境が整いました。

また、1999年からは博多座で行われる六月歌舞伎に合わせ、歌舞伎役者による「船乗り込み」という行事が始まり、地域のイベントとしても定着しています。これにより、博多川はただの河川ではなく、文化と自然が調和した重要な地域となっています。そのため、博多川は博多区に息づく歴史と現代の文化、そして自然と人間の営みが織りなす場であり続けています。

もう一度検索