博多座

博多座（はかたざ）

博多座は福岡市博多区下川端町に所在し、九州最大の演劇専用劇場です。この劇場は大型複合商業施設である博多リバレインの主要なテナントとして位置しており、2階から6階のフロアに広がっています。博多座では、歌舞伎、ミュージカル、商業演劇など、さまざまな演目が月替わりで上演され、最大1,500席の収容能力を誇り、九州全域や西日本各地からの観客を引き寄せています。

博多座はそのデザインが特徴的で、「演劇専用劇場」として設計されています。このため、さまざまな舞台演出に対応できるよう、廻り舞台や花道、袖花道に奈落、オーケストラピット、鳥屋（舞台装置の一部）などの設備が整っています。このような複雑な設備を兼ね備える劇場は全国的にも博多座だけです。

特に注目されるのは、ミュージカル「ミス・サイゴン」のオリジナル演出版の上演に向けて、実物大のヘリコプターを舞台に設置できるように舞台面積が確保されている点です。舞台設計のコンセプトは「スーパー歌舞伎」の上演を前提にしており、宙乗りに必要な設備が花道部分の天井にしっかりと整備されています。ミュージカルが上演される際には、生のオーケストラによる演奏が行われ、臨場感あふれるパフォーマンスを提供しています。

毎年6月には、博多座の近くを流れる博多川で「船乗り込み」という伝統的な行事が開催され、歌舞伎役者たちが華やかに登場します。この劇場は福岡市と演劇興行企業、地元企業が出資する株式会社博多座によって運営されています。また、毎年12月は市民向けに劇場が開放され、博多検番の芸妓による「博多をどり」の公演も行われます。

博多座の名称は現在の二代目で、初代博多座は1910年に川上音二郎一座によって博多区千代に設立されました。博多座の開場までの沿革を振り返ると、1996年に株式会社博多座が設立され、1999年に開場しました。当初の公演では市川團十郎、尾上菊五郎、坂田藤十郎といった著名な歌舞伎役者たちによる演目が上演され、評判を呼びました。

長い歴史を経て、博多座はさまざまな自主制作公演を行いながら成長してきました。特に、2007年から連続公演として上演された「レ・ミゼラブル」や、2009年には「ミス・サイゴン」のオリジナル演出版が世界で唯一のものとされ、観客を魅了しました。2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で公演が中止となる厳しい時期がありましたが、それでも博多座は地域の文化を支える重要な存在であり続けています。

博多座では定期的に歌舞伎、宝塚歌劇団の公演も行われており、福岡での文化の発信地としての役割を果たしています。また、地下鉄中洲川端駅から徒歩わずか1分の立地にあり、交通アクセスも非常に良好です。観客にとってアクセスの良さや多彩な演目を楽しめる場所として、博多座は今後も多くの人々に愛されるでしょう。

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